2010年03月19日
「デュロテップ®MTパッチ」の勉強会をしました。
 「デュロテップ®MTパッチ」の勉強会をしました。
20100317日 H.O.@元内尾店

 

勉強会の内容
効能・効果の追加承認について
確認書を用いた流通管理体制の概要について
使用時の患者さんへの注意点
ど作用の発現について

効能・効果の追加承認について
 2010120日より、デュロテップ®MTパッチの効能・効果に「中程度から高度の慢性疼痛における鎮痛」が追加承認されました。

 【効能・効果】非オピオイド鎮痛剤及び弱オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患における鎮痛
(ただし、他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する場合に限る。)
 中程度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
 中程度から高度の慢性疼痛における鎮痛 


承認条件と確認書を用いた流通管理体制の概要について
〔承認条件〕
「慢性疼痛の診断、治療に精通した医師によってのみ処方・使用されるとともに、本剤のリスク等についても十分に管理・説明できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ用いられ、それら薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。」
 → 承認条件を満たすために、薬局で慢性疼痛の患者さんへデュロテップMTパッチを調剤する場合は、麻薬処方箋とともに処方医から交付された「確認書」の提示が必要となります。

 
〔適正使用流通管理の概要〕
デュロテップMTパッチを慢性疼痛に対して処方する医師は、慢性疼痛治療および本剤の流通管理に関するトレーニング(e-learning)をあらかじめ受講する。トレーニングに合格すると、医師に確認書(医師保管用と患者さん保管用がくっついたもの)が送信される。
         
医師が慢性疼痛の患者さんにデュロテップMTパッチを処方する時は、医師は患者さんに注意説明を行い、確認書へ患者さんの署名をもらう。その後、確認書を2つに切り、片方は医師保管用、残りの片方は患者さん保管用となる。
         
患者さんは処方箋と確認書を持って薬局へ。薬剤師は確認書を確認した後、デュロテップMTパッチを調剤する。確認した後、確認書は患者さんに返す。
 確認書は慢性疼痛に使用される時のみに必要!癌性疼痛では必要なし。


 使用時の患者さんへの注意点効能・効果の追加承認に伴い、【警告】も追加されました。

【警告】
「本剤の温度が上昇するとフェンタニルの吸収量が増加し、過量投与になり、死に至るおそれがある。本剤貼付中は、外部熱源への接触、熱い温度での入浴等を避けること。発熱時には患者の状態を十分に観察し、副作用の発現に注意すること。」 

そのため、以下の点について患者さんに注意をお願いします。
40℃以上の発熱がある場合は、すぐに医師や医療機関に連絡すること。
・熱源をパッチ貼付部位に当てないようにすること。
 熱源例:こたつ、電気パッド、電気毛布、カイロ、湯たんぽ、
 サウナ、赤外線灯など
・入浴する際には、熱いお湯に入ることは避けること。お湯の温度は40℃
 を目安にする。
・入浴する際には、貼付部位をお湯に浸さないよう、またシャワーを当てない
 ようにすること。
・もし、呼吸数の減少、一回換気量減少、呼吸困難徴候等が現れた場合はただちに
 パッチをはがし、すぐに医師や医療機関に連絡すること。


オピオイドの副作用の発現について
●フェンタニルとモルヒネの差
μオピオイド受容体にはμ1μ2のサブタイプがあり、μ1は抗侵害作用(鎮痛)に、μ2は消化管輸送抑制作用(便秘)に関係しています。
モルヒネはμ1μ2ともに強く作用するため、副作用として便秘が起こりやすくなります。しかし、フェンタニルはサブタイプ選択性を持っておりμ1への作用は強いですが、μ2への作用は弱いため副作用が起こりにくいとされています。

●経口剤と貼付剤の差
オピオイドによる便秘、胃内ガス貯留、腹部膨満などの症状はOBDOpioid-induced Bowel Dysfunction)と呼ばれます。OBDは消化管内に多く存在するμ受容体が関係していると考えられています。
経口剤は服用後に消化管を経由するため消化管内のμ受容体を刺激しOBDが発現しやすくなりますが、貼付剤は消化管を経由しないためOBDの発現が起こりにくいとされています。

感想〕
デュロテップMTパッチの追加承認が行なわれたことにより、慢性疼痛に対する有力な選択肢が1つ増えました。慢性疼痛に悩む患者さんにとって非常に嬉しいことだと思います。
ただ問題点もあり、事前に処方医がe-learningをしなければいけない点や、確認書の授受のシステム等の周知には時間と労力が必要と思われます。
しかしながら、モルヒネからフェンタニルに変更することにより次のことが考えられます。

  使用法が簡単になる。
  副作用の軽減も考えられる。
  疼痛のコントロールがより確実になる。

これらにより患者さんのQOLは改善され、また患者さんとご家族や周りの方々との接し方が温和になったり、今までできなかったことが患者さん自身でできるようになれば、周囲の方々のQOLまでも改善が期待できると思います。この薬剤は慢性疼痛の治療において非常に有用な選択肢になるのではないでしょうか。