2008年10月18日
「IBS,イリボーの勉強会」をしました。

過敏性腸症候群・イリボー勉強会

 

                          2008.10.7

                           H・O@ 東畦店 

過敏性腸症候群IBSIrritable Bowel Syndrome)について

 

定義

器質的疾患を伴わず、腹痛・腹部不快感と便通異常(下痢、便秘)を主体とし、それら消化器症状が長時間持続もしくは悪化、改善を繰り返す機能性疾患。排便により腹部症状が改善する。

ただ、定義上器質的疾患を伴わないとなっているが、米国のある調査では下痢型過敏性腸症候群(D-IBS)の25%が胃腸炎後(特にキャンピロバクター腸炎後)発症しているというデータがあり、回盲部のLow grade炎症と肥満細胞の増加、IL-1βの増加が認められた。つまり、感染性胃腸炎後に炎症が残りセロトニンを分泌する肥満細胞が増加し、セロトニンの分泌により腸管運動が亢進されているというPost-infection IBS が存在するということが示唆された。



 

疫学

日本における成人のIBS有病率は12.5%、患者数は約1200万人。(糖尿患者より多い)

若年層に多く、男性では下痢型、女性では便秘型が多い傾向。

 

診断基準

ROME郡霆燹6か月以上前から症状があり、最近3か月間は下記の条件をみたす)

過去3ヶ月間、月に3日以上にわたって腹痛や腹部不快感が繰り返し起こり、下記2項目以上がある

1.              排便により症状が軽減する

2.              発症時に排便頻度の変化がある

3.              発症時に便形状(外観)の変化がある

 

分類

便秘型、下痢型、混合型、分類不能型に分けられる

  

イリボー(ラモセトロン塩酸塩)の特徴

 

・国内初のセロトニン5−HT受容体拮抗作用に基づく下痢型過敏性腸症候群治療薬

・1日1回投与でよい

・ストレスによる脳腸相関の異常改善

               ↓      

ストレスによって生じる消化器症状(脳→腸)と消化器症状によって情動への影響が生じる(腸→脳)現象

 
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・長期にわたる治療可能

・遠心性神経系に作用→腸管神経叢に作用し、消化管運動異常改善

求心性神経系に作用→大腸痛覚の伝達抑制、腹痛及び内臓知覚過敏改善 


臨床・薬物動態

・服用1日目よりプラセボ群を上回り、便形状の改善及び排便回数の減少が認められた。

また、拘束ストレス負荷により誘発される下痢に対し、用量依存的な抑制作用を示した。(ラット)

・長期投与においては、イリボーの用量を適宜増減することで全般的なIBSの改善効果が認められた。

・食事の影響を受けないため、いつ服用してもかまわない。

・女性においては、n数が少なく、プラセボとの有意差がつかなかったため、今回の適応は男性のみとなった。

・副作用について最も多いのは便秘・硬便次いで腹部膨満である。また、海外において他の5−HT3受容体拮抗剤(アロセトロン)で虚血性大腸炎及び重篤な便秘が現れ、死亡例も報告されているため特に注意が必要。

虚血性大腸炎:高齢の方や生活習慣病に罹患している方に起こりやすい。
症状:急性の腹痛、粘血便

治療方法:特に治療法は無く輸液と安静であるが、的確に診断をしなければ死に
     至るケースもあり注意を要する。


・フルボキサミン(
CYPA2阻害作用のある薬剤)との併用注意→ラモセトロンの血中濃度上昇

 

感想

今や現代病となってきているIBSは、まだまだ認知されておらず、罹患しているにもかかわらず診断されていない人が多い。ストレス社会の現代でQOLの上昇のためにもイリボーの女性適応、早期の認知拡大を期待する。


 
2008年10月04日
況薪尿病の講演会にいってきました。
II型糖尿病の講演会にいってきました。
BOT療法という新しい治療法を知りました。

                          HO@東畦店

                               200810.1


(お断り:下記の図は鮮明では有りません。
 図をWクリックして頂くと鮮明になります。)

況薪尿病の定義

糖尿病→インスリンの作用不足による慢性高血糖を主徴とし、
さまざまな代謝異常を伴う疾患

治療の目的

 慢性的高血糖下で起こる細小血管合併症(神経障害・網膜症・腎症)および大血管合併症(虚血性心疾患・脳血管障害・閉塞性動脈硬化症など)の発症予防及び伸展の阻止

→非糖尿病患者と同等のQOLと健康寿命の確保

 

糖尿病治療薬

 

a.経口血糖降下薬(OHAoral hypoglycemic agent

現在一番使用されているのはSU薬(福岡において糖尿病患者の約半数)

次いでBG系、α‐GI、 チアゾリジン誘導体、フェニルアラニン誘導体

日本人は米国白人に比べてインスリン分泌量が低く、インスリン抵抗性も低いためSU薬の適応となる症例が多い。

  
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SU
薬の問題点

・膵β細胞の疲弊、2次無効

 β細胞に対する分泌ストレス(インスリン抵抗性、高血糖、SU薬)により疲弊、もしくはアポトーシスが起こる

他に酸化ストレス、小胞体ストレスなど

 

<酸化ストレス>

細胞内や細胞間の情報伝達機能にかかわるPKCが血管壁細胞では高血糖によって活性化され、さらに血管壁のNDA(P)Hオキシダーゼを活性し酸化ストレスを増長させる。酸化ストレスは血管合併症を進展させるだけでなく、インスリンが作られる膵β細胞にも障害を与えている。よって血糖が高いままSU薬を使用しているとβ細胞の酸化ストレスが増大し、さらにその状態が続けばアポトーシスも増大する。β細胞保護のためには無駄なインスリン分泌刺激を避ける。 


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また、グリベンクラミド(オイグルコン、ダオニール)などの第2世代SU薬に比べ、第3世代のグリメピリド(アマリール)はインスリン分泌量は少ないが、累積生存率が長く、抗動脈硬化作用が強いというデータが得られている。新世代SU薬がインスリン抵抗性改善作用を併せ持つという特徴があり、インスリン分泌の節約(=β細胞の保護作用)ができる。

         

b.インスリン製剤

 血糖コントロール不良の患者に対して用いる→いきなり1日3回インスリン製剤を使用することはなかなか受け入れがたい

           ↓      

 BOT Basal supported Oral Therapy経口血糖降下薬と持効型インスリン注射の併用。 持効型インスリンは、患者のライフスタイルに合わせて朝、または眠前など11回打ってもらえばよい→抵抗感の軽減

SU薬の増量より血糖値のコントロールがよいとのデータあり。

→早めのBOTの導入が必要。

少量の持効型インスリンから開始すれば低血糖のSEが少なく、また1度注射に慣れてしまえば増量の際も抵抗感が軽度である。さらに糖毒性を改善する事によりβ細胞の疲弊を改善し、インスリンからの離脱が可能なケースもあるといったメリットもある。


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持効型インスリンの初期用量は4単位
/日〜6単位/

急激な増量は低血糖を引き起こすため少しずつ増量する。通常BOTの1ヶ月の増量は2単位、低血糖の心配が無ければ4単位/日が望ましいとされる。

また、BOT導入時期についてHA1c=7.7%からはじめるのが理想であるが、89%くらいから始めているのが実情とのこと。

感想

今までは経口剤の無効がハッキリしてインスリン療法に切り替えるのが通常と考えていましたが、今回のBOT療法は内服剤と併用して持効型インスリンを使用するという新しい考え方でした。

今後このような治療法が一般的になりDM治療が更に進んで欲しいし、自分自身も薬剤師としてもコンプライアンス向上やインスリン導入など服薬指導を通じて、積極的に合併症予防に関わっていきたいと思います。



 
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