2010年11月28日
β遮断薬の勉強会に行ってきました。
  
β遮断薬の勉強会に行ってきました。
  
By MI@東畦店
高血圧の治療ガイドライン ヨーロッパ
βブロッカーは推奨されるが
推奨される薬剤と推奨されない薬剤が明記された。
その中で国内でも良く使われる テノーミン、セロケンは推奨されない薬剤と明記された。
推奨される薬剤はアーチストとメインテート、他1種類は本邦では未発売
使い分けとしては
重症心不全:アーチスト エビデンスが多い
頻脈を伴う高血圧:メインテート 脂溶性で脳への移行が高いため
肺疾患を伴う高血圧:メインテート  β1選択性が高い (最大75:1) 

アーチスト⇒メインテートに変更の場合、メインテートの量の目安はない。
アーチストの体内での活性は個人差が大きいためアーチストを投与しながら
メインテートを少量から増やしていくのが良い。

 
テノーミン
 心血管死に対して効果無し 
 心肥大の抑制効果無し
 それらは水溶性が主な原因と考えられる。
メインテート
 慢性心不全に有効  ドーズディペンデントに効果あり
 高血圧(頻脈・不整脈を伴う)
 使用法
 メインテート2.5mgには割線が入っている。
 開始時
 0.6251.251.8752.5
  症状悪化すれば減量 

心不全 70% 収縮不全 βブロッカー 有効
    30% 拡張不全 βブロッカー 無効 

BNP  絶対値でみるより各個人において変化を見るほうが良い
 

 
日経メディカルの別冊から抜粋 

βブロッカーを選択する際の留意点
β1受容体に対する選択性
非選択性薬剤→血管拡張作用を持つβ2受容体も阻害するため、降圧効果や心血管保護作用を弱めてしまう。

 β2受容体遮断による副作用: 糖・脂質代謝への悪影響(インスリン分泌がβ2受容体刺激で促進されるため)、気管支収縮や喘息の誘発、抹消循環障害
 β遮断薬は低血糖に対する反応性を弱め、低血糖に対するリスクを高めると言われてきたが、これはβ1選択性が高い薬剤にはあてはまらない。
 ある論文ではメインテートはACE−1と同程度にインスリン感受性を改善させることが報告されている。
 β1選択性の高い薬剤はCOPDを合併した高血圧患者にも比較的安全に使用できる。

 
β1受容体遮断による副作用: 徐脈 

内因性交感神経刺激作用(ISA)の有無
 ISAを有するβ遮断薬は降圧効果が不十分であるだけでなく、心血管イベントの有意な抑制効果が認められていない。主な臨床試験で有意な予後改善作用を認められているものはすべてISAのないβ遮断薬である。

 
脂溶性、中枢神経系への働き
 脂溶性のβ遮断薬は脳血液関門を通過して中枢神経系に達し、交感神経を抑制するとともに副交感神経(迷走神経)を活性化する。こうした作用は水溶性β遮断薬には認められない。
 心肥大の進展阻止、致死性不整脈、突然死予防の観点から脂溶性は極めて重要な特性である。
 また高齢者は血管進展性が低下しているため、血管拡張薬には反応が良いとは言えない。
 よって中枢作用を兼ね備えたβ遮断薬は有用である。
 特に若年・壮年の高血圧患者では一般に交感神経活性の高進と副交感神経の抑制が見られ、結果として心拍数と心拍出量の増加を招く。さらに交感神経系の亢進はレニン。
 アンジオテンシン系の過剰な活性化にもつながる。
 私にとってβ遮断薬は正直難解な物でした。しかし今回の講演会でシンプルに考えたら良いと、とてもクリアになりました。
                      

 
2010年11月27日
「ガバペン」の勉強会をしました。

ガバペンの勉強会をしました。
平成221127日   
By:HM@妹尾店  
 
てんかん概念:大脳の慢性疾患
       反復性の発作を主徴とする。
       脳波の異常が現れる。
 全般発作:4割     部分発作:6割 ← ガバペン:発作の回数減らす薬
 部分発作の第1選択薬:カルバマゼピン(テグレトール)
           ガバペンは第2選択薬 

 
てんかん部分発作の治療

 
Step        Step◆   Step
単剤(第1選択薬)→ 他の単剤 → 多剤併用 

※3割ぐらいは発作コントロール不良。

 ガバペンの特性
     新しい作用機序をもつてんかん薬
Ca2+チャネルを抑制しグルタミン酸神経系(興奮性)の抑制
GABAトランスポーターを活性化する(流れをよくする)ことで、GABA神経系
 (抑制性)機能の維持・増強
 

   
既存の抗てんかん薬単独はで十分な効果が認められていない部分発作を有する。
 てんかん患者において、ガバペン併用による発作抑制効果が認められた。

     他の抗てんかん薬の血清中濃度の変化なし。
   →ガバペンは体内でほとんど代謝されず、肝代謝酵素の誘導・阻害作用を示さない。
    そのため、相互作用を起こしにくい
   ※腎排泄のため、腎機能障害の人には注意 

用法・用量
]通常、成人にはガバペンチンとして初日1日量600mg、2日目1日量1200mgをそれぞれ3回に分割経口投与する。3日目以降は維持量として1日量1200mg〜1800mgを3回に分割投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日最高投与量は2400mgまでとする。

13回投与の場合に、各投与間隔は12時間を超えないものとする。
 →t1/26hrのため 

[
主な副作用]
・傾眠:そんなに用量依存ではない。Drによると、個人差はあるが服用を続けると
 軽くなるらしい。服用維持しやすい薬ではある。
・浮動性めまい
・頭痛               

[
ガバペン向きな患者] 
・単剤で効果がない。
・相互作用が心配。
・副作用が大きくて、てんかん薬を増量できない。
・長期での発作コントロールができない。

 *感想*併用により発作抑制効果があり、しかし相互作用は起こしにくいというのは
 とても良い薬であると感じた。ただ、傾眠を起こしやすい薬という印象は感じた。
 どの程度の傾眠で、患者さんがどのくらい不便を感じているのかなど、実際に患者さんに
 聞いてみる必要があると思った。
 

 
2010年11月11日
長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害剤「イナビル吸入粉末剤20」の勉強会をしました。

長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害剤
「イナビル吸入粉末剤20」の勉強会をしました。

H221029()                                 by (Ms)M・I @ 東畦店

イナビルの基本情報
²  20109月に承認された純国産吸入剤
²  1回投与で完結する、A型又はB型インフルエンザウイルス感染症治療薬
²  商品名:イナビル吸入粉末剤20
      (INAVIRDRY POWDER INHALER
²  一般名:ラニナミビルオクタン酸エステル水和物
       
Laninamivir Octanoate Hydrate
²  薬効分類名:Long Acting Neuraminidase Inhibitor 
      (長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害剤)
²  INAVIR 命名の由来
       I:1          “1回の治療で”
       NA:ノイラミニダーゼ  “NAを阻害し”
       VIR:ウイルス(virus)  “ウイルスの増殖を抑える”

効能・効果

 A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療

用法・用量
成人:ラニナミビルオクタン酸エステルとして40咾鮹渦鶺枡投与する。
小児:10歳未満の場合、ラニナミビルオクタン酸エステルとして20咾鮹渦鶺枡投与。   
   
10歳以上の場合、ラニナミビルオクタン酸エステルとして40咾鮹渦鶺枡投与する。
   体重のしばりはなく、吸入できれば幼児でもかまわない。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
  ・症状発現後、可能な限り速やか(発症後48時間以内)に投与を開始することが望ましい。
  ・本剤は、1容器あたりラニナミビルオクタン酸エステルとして20咾魎淪し、
   薬剤が2箇所に充填されている。成人及び10歳以上の小児には2容器、
    10歳未満の小児には1容器を投与すること。
  
・薬剤が作用部位に残りやすくなるので、使用後はうがいをしない方が良い。

インフルエンザウイルスについて
・インフルエンザの感染経路は、インフルエンザウイルス感染患者の咳やくしゃみなど
 のしぶきに含まれるウィルスを吸い込む「飛沫感染」が主となる。 
潜伏期間は1~3日間で、
 インフルエンザウイルスは呼吸とともに鼻腔や咽頭から
体内に入り込み、気道粘膜に吸着
 して細胞内へ侵入し、上気道から下気道、さらには
肺で急激に増殖していく。
・インフルエンザウイルスの増殖スピードは非常に速く、1個のウイルスが8時間後には100個、
 16時間後には1万個、24時間後には100万個になると言われているので、ノイラミニダーゼ
 阻害薬はできるだけ早期
(発症後48時間以内)に投与を開始することが重要となる。

インフルエンザウイルスの構造
 インフルエンザウイルスは、エンベロープ(ウイルスを覆う脂肪膜)を持ち、
 直径
100nm程度で、表面には「ヘマグルチニン(HA)」及び「ノイラミニダーゼ(NA)
 と呼ばれる
10nm程度の2種類のスパイク(突起)を有する。

インフルエンザウイルスの増殖メカニズム
 インフルエンザウイルスは、細菌とは異なり自分自身で増殖することはできず、
 宿主となる細胞に侵入して増殖し、その細胞内から子ウイルスを放出させて次々に
 感染して
いく。
      吸着:ウイルス表面のヘマグルチニンが、気道粘膜細胞上のシアル酸と結合して、
  宿主細胞に吸着する。
      侵入:宿主細胞は、吸着したウイルスをまるごと細胞内へ取り込む。
      脱殻:ウイルス内の遺伝子情報(RNA蛋白複合体)を放出し、核内へ移動させる。
      ウイルスRNA・蛋白質の合成:核内に運ばれたRNA蛋白複合体から、
  新たに大量の
RNA蛋白複合体が形成されて、細胞表面へと輸送される。
  それに並行
して、ヘマグルチニンやノイラミニダーゼも細胞表面へと輸送される。
      出芽:細胞表面に輸送されたRNA蛋白複合体やヘマグルチニン、ノイラミニダーゼなどは、
  細胞膜近くで会合し、ウイルス粒子が形成され、細胞膜から出芽する。
      放出:ノイラミニダーゼが宿主細胞上のシアル酸を切断し、子ウイルスを宿主細胞から
  放出し、次の細胞へと感染を拡げていく。
ノイラミニダーゼ阻害薬は、宿主細胞で増殖・産生した子ウイルスが細胞外に放出される際、ノイラミニダーゼによるシアル酸の切断を阻害して子ウイルスの放出を抑え、感染の拡大を防ぐ。

なぜイナビルの治療が1回で完結できるのか?

 イナビルはラニナミビル(活性代謝物)のプロドラッグで、吸入投与後「気管」や「肺」の上皮細胞
 に存在する加水分解酵素によって活性代謝物のラニナミビルに変換され、そのまま長時間
 にわたって貯留する。
  Cmax 6.41(nmol/g)  Tmax 3.0(hr)  t1/2 41.4(hr

成人患者に対する有効性の検討
²  インフルエンザ罹病時間を比較してみると、イナビル40啖欧肇セルタミビルリン酸
 塩群は同様に推移し、イナビルは
1回の吸入投与で125日間反復経口投与の
 オセルタミビルリン酸塩群と同等の効果を示した。
²  ウイルス力価の比較では、最終的(6日目)にはイナビル40啖欧皀セルタミビルリン酸
 塩群もウイルスが検出された患者はほとんどみられなかったが、
 3日目ではイナビル40啖欧諒がオセルタミビルリン酸塩群よりもウイルスが検出された
 患者の割合が
有意に低く、イナビル投与により早いウイルス消失が期待された。

小児患者(10歳未満に対する有効性の検討

²  インフルエンザ罹病時間の比較では、イナビル20啖欧諒が、オセルタミビルリン酸塩群
 よりも
1日以上有意に早く回復させることができた。
²  ウイルス力価の比較では、3日目では差が生じなかったが、6日目でイナビル20啖欧
 方がオセルタミビルリン酸塩群より早くウイルスの消失がみられた。
 成人と異なり「
6日目」で有意差がついた理由としては、小児では成人と比較して相対的に
 獲得免疫が未熟なため、一般的にウイルスが残存しやすいためと考えられる。

イナビルの抗ウイルス作用
・A型及びB型インフルエンザウイルスA/H1N1型インフルエンザウイルスの
 オセルタミビル耐性株
・新型インフルエンザウイルス(パンデミック(A/H1N1)2009
・高病原性鳥インフルエンザウイルス(A/H5N1型)
・既知のノイラミニダーゼ亜型(N1N9)動物インフルエンザウイルスなど
 さまざまなウイルス型・亜型に対して、イナビルは良好な抗ウイルス作用を示した。

なぜ薬剤耐性株が出現するのか? 耐性化のメカニズム
 A/H1N1型インフルエンザウイルスのオセルタミビル耐性株(H274Y変異株)では、
 オセルタミビル(活性代謝物)の疎水基に対して、ノイラミニダーゼの相互作用部位
 に
変化が生じて結合力が低下するため、感受性が減弱すると考えられる。
 一方ザナミビルは、H274Y変異株においてもグリセロール基と相互作用部位との
 結合力が妨害されることはなく、オセルタミビル
(活性代謝物)には存在しない
 グアニジノ基と
相互作用部位との結合も存在するため、ザナミビルと相互作用部位
 との結合力は低下せず、結果、オセルタミビル耐性ウイルス
(H274Y変異株)にも感受性
 があると考えられる。
ラニナミビルにもザナミビルと同様、グリセロール基と
 グアニジノ基があるので、
ザナミビルと同じような効果が期待できるのでは
 ないでしょうか?

抗インフルエンザウイルス薬服用後のウイルスの残存について
 一般的にインフルエンザウイルス感染症は、熱などの症状が改善してもウイルスが
 残存していると言われている。にもかかわらず、インフルエンザウイルス感染患者は、
 抗インフルエンザウイルス薬を服用して熱が下がったり症状が軽減したりすると、
 「服用を中止してしまう傾向」があるように思われる。これでは、ウイルスがさらに残存し、
 さまざまな問題が出てくるのではないでしょうか?

イナビルの安全性
 成人・小児とも、対照薬のオセルタミビルリン酸塩と比較して、副作用発現率に
 大きな
違いは認められない。また、2040咾良作用発現頻度にも大きな差はなく、
 投与量の増加による副作用発現率の増加も認められない。
 主な副作用は、下痢、悪心、嘔吐など。

異常行動・言動について
 2009年のデータによれば、オセルタミビルの服用有無にかかわらず、10%程度の患者に
 異常行動が認められているが、ラニナミビルの服用試験での発現率は、
9歳以下で2.4%
 10歳代で5.0%と、ラニナミビルの服用によってインフルエンザ異常行動・言動の発現率
 が増加する傾向は認められなかった。

イナビル製剤の安定性
 イナビルの吸入容器及び製剤は、現時点で16ヶ月間まで安定であることが確認されており、
 試験は現在も継続中とのことです。

イナビルの吸入容器について
・イナビルの吸入容器には薬剤が充填されているので、事前操作が不要。
 薬剤トレーをスライドさせない状態で軽く“トントン”と叩き、容器内の薬を下に
 集めた状態で、薬剤トレーのラベルをはがさず、矢印方向にしっかりと端までスライドさせて、
 →△畔卻ずつ吸入する。この時、底にある空気孔をふさがないように
持つことに注意し、
 吸い残しのないように→◆↓→△
2回ずつ吸入することが望ましい。
1容器に20啼っているので、10歳以上で2容器、10歳未満で1容器を1回分として吸入する。
1回で完結する吸入剤なので、これでイナビルによる治療は終わり。

まとめと感想
 
 イナビルの治療は
1回で完結するので、症状改善による服薬中止や服薬忘れを懸念する
 必要がないのは良い点だと思いました。しかし上手に吸えなかった時、
 125日間服用の薬だと「また次がある」という安心感があるけれど、1回きりだと
 「これで効くのだろうか?」と不安になることもあるのではないでしょうか?
 
 また吸入容器のトレーの操作が固くて、力の弱いお年寄りや小さい子供さんには難しい
 ように思いました。 この2点の不安を解消するために、「薬局に薬を受け取りに来られた時に、
 その場で説明しながら吸入していただく」というのはどうでしょうか?
 1回だけの服薬でいいし、早めの方が効果的でもある訳ですから・・・。
 患者さんの状態に合わせて従来の薬と使い分けながら、より効果的なインフルエンザの
 治療ができればいいなと思いました。