2011年08月10日
アルツハイマー型認知症治療薬《アリセプト》と《イクセロンパッチ》についての勉強会をしました。
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アルツハイマー型認知症治療薬《アリセプト》と
                             《イクセロンパッチ》の勉強会をしました。

                                  By 就実大学薬学部 YA

(1)アルツハイマー型認知症治療薬《アリセプト》
アリセプトは海外(アメリカ・イギリス・ドイツ)で
1997年に軽度・中等度AD適応の5mg10mg剤形が発売されました。翌年にはフランスでも発売されました。その翌年日本でも発売され始めました。その経緯を表にまとめました。
 
1999錠剤 新発売
 軽度・中等度AD適応
 3mg5mg剤形
2001細粒0.5% 新発売
2004D錠 新発売
 3mg5mg剤形
2007 高度AD適応追加10mg剤形 新発売
2009ゼリー剤 新発売
2011D錠 バラ包装 新発売

 現在認知症は身近な病気とされており、認知症の多くは「アルツハイマー型認知症」に分類されます。認知症の症状は中核症状・周辺症状の2つに大別することができ、その中でも必ず見られる中核症状をアリセプトで治療していきます。 

              中核症状      周辺症状
              記憶障害  一人で歩き回る
             判断力低下 
   話している言葉が理解できない   
      
時間や場所がわからない
     不安・幻覚  
 怒りっぽくなる  
 意欲がなくなる

一般名
ドネペジル塩酸塩

 
効能・効果
アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制 

用法・用量
錠・D錠:通常、成人にはドネペジル塩酸塩として113mgから開始し、
        12週間後に5mgに増量し経口投与する。高度のアルツハイマー型認知症患者には、
        5mg4週間以上経過後10mg 増量する。なお、症状により適宜減量する。
3mg/日投与は有効用量ではなく、悪心・嘔吐などの消化器系副作用の発現を抑える目的なので、原則として12週間を超えて使用することはできない)
    粒 :通常成人には110.6gから開始し、12週間後に1.0gに増量し経口投与する。
      高度のア
ルツハイマー型認知症患者には、1.0g4週間以上経過後2.0gに増量する。
      なお症状により適
宜減量する。

 
作用機序
アルツハイマー型認知症では脳内コリン作動性神経系の顕著な障害によりアセチルコリン量が減少してしまう。そこでアリセプトはアセチルコリンエステラーゼ(アセリルコリンの加水分解酵素)を阻害してアセチルコリンの分解を抑制することによって脳内でのアセチルコリン量を増加し、コリン作動性神経の神経伝達を促進する。

 
臨床成績
アリセプトは軽度〜中等度では認知機能改善効果(ADAS)・全般臨床症状評価、高度では認知機能改善効果(SIB)・臨床症状評価(CIBIC plus)において効果が立証されています。 

特徴
*アリセプトは唯一フルステージ(軽度〜高度)のアルツハイマー型認知症の治療ができる薬剤 
 〔レミニール(ガランタミン臭化水素酸塩)は軽度〜中等度、
  イクセロンパッチ・リバスタッチ(リバ
    スチグミン)は軽度〜中等度、メマリー
  (メマンチン塩酸塩)は中等度〜高度〕

 
*他のアルツハイマー型治療薬に比べてより早く有効用量に到達 
 〔アリセプトは2週間、レミニールは4週間、イクセロンパッチ・リバスタッチは
   12週間、メマリー    3週間〕 

副作用
食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢などの消化器症状:13%未満 

併用
レミニールやイクセロンパッチ・リバスタッチとは作用機序が同じであるため併用することは出来ないがNMDA受容体拮抗薬であるメマリーとは併用することが出来る。
米国、カナダADNIでのアルツハイマー型認知症治療薬の内訳ではアリセプト単独が37.5%、アリセプトとメマリーの併用が29.9%となっている。

 
相互作用
アリセプトは主として薬物代謝酵素CYP3A4及び一部CYPD6で代謝されるので、同酵素で代謝される薬剤を服用している人には注意が必要。

 感想
現在では85歳以上の4人に1人が認知症であるほど身近な病気となってきており、それに伴い治療薬もどんどん研究開発されています。しかしながら現在使われている治療薬では病気を治癒することではなく進行を遅らせることしか出来ないのが現状です。アルツハイマー型認知症の治療薬の中でもアリセプトは唯一軽度〜高度の適用を有する治療薬であり、豊富な剤形(錠剤、口腔内崩壊錠、細粒、ゼリー剤)も整っていて様々な方に貢献できる薬剤といえると思います。特に嚥下機能の低下した方や薬自体を嫌がる方にとって口腔内崩壊錠やゼリー剤は服用しやすい剤形であると思うので、アリセプトを服用することで少しでも進行を抑制することが出来れば家族や介護者の負担を減らすことや患者さん自身のQOLを上げることも出来ると思います。   


(2)アルツハイマー型認知症治療薬《イクセロンパッチ》
次いで、アルツハイマー型認知症治療薬《イクセロンパッチ》についての勉強会をしました。

一般名
リバスチグミン

効能・効果
軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制 

用法・用量
通常、成人にはリバスチグミンとして1日1回4.5mgから開始し、原則として4週毎に4.5mgずつ増量し、維持量として1日1回18mgを貼付する。
本剤は背部・上腕部・胸部のいずれかの正常な皮膚に貼付し、24時間毎に貼りかえる。
118mg未満は有効用量ではなく漸増又は一時的な減量を目的とした用量であるので、維持量である18mgまで増量すること。) 


作用機序
アリセプト同様、アルツハイマー型認知症では脳内コリン作動性神経系の顕著な障害によりアセチルコリン量が減少してしまう。そこでアリセプトはアセチルコリンエステラーゼ(アセリルコリンの加水分解酵素)を阻害してアセチルコリンの分解を抑制することによって脳内でのアセチルコリン量を増加し、コリン作動性神経の神経伝達を促進する。 

臨床成績
全般臨床評価においてADL(日常生活動作)の指標であるDAD(在宅のAD患者を対象としたADLの障害を測定するための尺度)の結果より有意な悪化抑制、介護者による患者の印象度を評価した改訂クリントン尺度において有意な悪化抑制を示している。 

特徴
*使用状況を目で確認できる11回の貼付剤なので利便性に優れている。

 副作用
適用部位紅斑:43.1
適用部位そう痒感:40.2
接触性皮膚炎:29.0
適用部位浮腫:13.9
嘔吐:9.0悪心:8.7
適用部位皮膚剥離:6.1
食欲不振:5.6

 
併用
レミニールやアリセプトとは作用機序が同じであるため併用することは出来ないがNMDA受容体拮抗薬であるメマリーとは併用することが出来る。

 
相互作用
エステラーゼにより加水分解されて硫酸抱合を受けるのでP450による代謝はわずかである 

感想
アリセプトとイクセロンパッチの大きな違いは剤形の違いであり、使いやすさは人それぞれであると思いますが私個人的にはお年寄りの方は飲み薬をたくさん服用している方が多いと思うので錠剤の方が飲みやすいのではないのかなと思いました。しかし介護の面から考えると貼り薬の方が便利がよいと思うので、いろいろな剤形があることはコンプライアンス(服薬遵守)を上昇させるという点でもよいことだなと思いました。

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2011年08月10日
アルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」と「イクセロンパッチ」の勉強しました。
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    ”はな薬局”by A.I.E.(Attitude Is Everything.)

アルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」と
             「イクセロンパッチ」の勉強会をしました。

                     by 就実大学薬学部 MH

(1)アルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」

 
現在認知症は身近な病気とされており、認知症の多くは「アルツハイマー型認知症」に分類されます。アルツハイマー型認知症になると、記憶障害・判断力低下・時間の感覚が分からないなどの本質的な能力が障害される「中核症状」と、不安・妄想・イライラ・自発性低下などの「周辺症状」が見られます。

 
しかし、上記の症状は加齢に伴うもの忘れでも考えられる症状なので、鑑別が必要です。次の表に加齢に伴うもの忘れとアルツハイマー型認知症の違いを示します。
加齢に伴うもの忘れアルツハイマー型認知症のもの忘れ
体験の一部を忘れる体験そのものを忘れる新しい出来事を記憶できない
ヒントを与えられると思い出せるヒントを与えられても思い出せない
時間や場所などは正しく認識時間や場所などの認識が混乱
日常生活に支障はない日常生活に支障がある
 医師からアルツハイマー型認知症と診断された後、治療を行います。
今回はその治療薬の先駆けとなった「アリセプト」について勉強しました。 

アリセプトは1997年に世界で最初に誕生した軽度・中等度アルツハイマー型認知症治療薬です。1999年には日本でも適用となり、さらに2007年に高度アルツハイマー型認知症治療薬としても始めて適用となった薬です。
 

<一般名>
ドネペジル塩酸塩

 
<効能・効果>
軽度〜重度における全ステージでのアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制。 

<用法・用量>
〈錠・D錠・ゼリー剤〉
通常、成人には113mgから開始し、12週間後に5mgに増量する。
高度のアルツハイマー型認知症患者には、5mg4週間以上経過後、10mgに増量する。
なお、症状により適宜減量する。
3mg/日投与は有効用量ではなく、悪心・嘔吐などの消化器系副作用の発現を抑える目的なので、原則として12週間を超えて使用することはできない。)  

〈細粒〉
通常、成人には110.6gから開始し、12週間後に1.0gに増量する。
高度のアルツハイマー型認知症患者には、1.0g4週間以上経過後、2.0gに増量する。
なお、症状により適宜減量する。 

<作用機序>
アルツハイマー型認知症では脳内コリン作動性神経系の顕著な障害によりアセチルコリン量が減少してしまう。脳内での情報伝達にかかわるアセチルコリン量が減少することで、頭の中の情報伝達がうまくできない状態となる。これをアリセプトがアセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼを阻害し、脳内アセチルコリン量を増加させ、コリン作動性神経の伝達を促進させる働きをする。
アリセプトによってアルツハイマー型認知症の症状の進行を遅らせる効果が期待できる。 

<副作用>
13%:アセチルコリン増加で副交感神経優位となりすぎて、胃酸過剰分泌や消化管の過活動による吐き気や食欲不振などの消化器症状(特に飲み始めと増量期)があるので、ナウゼリンなどの消化器改善薬を併用・対処療法として使うのも手である。 

<特徴>
   アルツハイマー型認知症治療薬で唯一の全ステージの適用を有する
   特にうつ、不安、感情鈍磨などの症状を改善しやすい
   1日1回投与で開始から有効用量(維持用量)まで、1〜2週と、
  他の治療薬に比べ早く移行可能な薬剤。
  (レミニール:4週間 イクセロンパッチ:12週間 メマリー:3週間)
   豊富な剤形(錠剤、口腔内崩壊錠、細粒、ゼリー剤)。
   販売から長い年月が過ぎているので、他の薬剤に比べエビデンス数も多く、
  約6割のシェアを占めている。(総合企画センター大阪調べ)
 

<使用上の注意>
   本剤の成分またはピペリジン誘導体(ぺリアクチン)に対し過敏症の既往歴のある
  患者には投与禁忌。
   アリセプトは病気の進行を遅らせる薬であって、元の正常な脳の状態に戻す薬ではない。
   本剤の投与により、徐脈、心ブロック(洞房ブロック、房室ブロック)、
  QT延長等が現れることがあるので、特に心疾患を有する患者や低カリウム血症等の
  ある患者には、重篤な不整脈に移行しないよう観察を十分に行う。
     

<他の治療薬>
今までアリセプトしかなかったが、ここ数年で3種の新薬が誕生した。
・レミニール(ガランタミン臭化水素酸塩):軽度〜中等度
・イクセロンパッチ(リバスチグミン):軽度〜中等度
・メマリー(メマンチン塩酸塩):中等度〜重度 

<併用>
レミニールやイクセロンパッチとは作用機序が同じであるため併用せず、切り替えて使用する。その場合、副作用に注意しながら各々の開始用量から切り替えを始める。
NMDA受容体拮抗薬であるメマリーとは併用可能。 

<考察>
今日、日本ではアリセプトを含め4種のアルツハイマー型認知症治療薬が販売されています。さらに、根本原因と言われているβアミロイド蛋白に作用する新薬など、徐々に、治らないと言われてきたアルツハイマー病に対して特効薬が開発されています。また、糖尿病はアルツハイマー病の危険因子であることもわかっていて、食事や運動などに気をつけて糖尿病を予防することで、アルツハイマー病の発症も遅らすことが出来るかも知れません。     

 
 (2)アルツハイマー型認知症治療薬「イクセロンパッチ」
 前回、アルツハイマー型認知症治療薬の「アリセプト」について勉強しましたが、さらに作用機序が増え、利便性もアップした日本初の貼付タイプのアルツハイマー型認知症治療薬について勉強しました。 

アルツハイマー型認知症とは前回お話したとおり、記憶や学習に関係する神経伝達物質の
アセチルコリンが減っているため、情報が伝達されにくくなって物忘れがひどくなり、徐々に認知機能が低下していく病気です。
アリセプトはアセチルコリンエステラーゼに対して選択的に阻害作用を示す作用機序でしたが、イクセロンパッチはアセチルコリンエステラーゼだけでなく、同時にブチリルコリンエステラーゼも阻害します。ブチリルコリンエステラーゼもアセチルコリン分解酵素なので、両方を阻害することで、よりシナプス間隙でのACh濃度を高め、神経伝達を促進させる働きを持っています。

 
<一般名>
リバスチグミン 

<効能・効果>
軽度〜中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制。 

<用法・用量>
通常、成人には114.5mgから開始し、原則として4週毎に4.5mgずつ増量し、維持量として1118mgを貼付する。
本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。
118mg未満は有効用量ではなく、悪心・嘔吐などの消化器系副作用の発現を抑える目的なので、維持量である18mgまでは増量すること。                  

<作用機序>
リバスチグミンは、アセチルコリンを分解する酵素であるコリンエステラーゼを阻害することにより脳内ACh量を増加させ、脳内コリン作動性神経を賦活します。コリンエステラーゼにはアセチルコリンエステラーゼ及びブチリルコリンエステラーゼが存在し、リバスチグミンはAChE及びBuChEの両方を阻害することで(デュアル阻害という)、シナプス間隙のACh量を増加させます。 

 
<副作用>
・適用部位紅斑(43.1%)
・適用部位そう痒感(40.2%)
・接触性皮膚炎(29.0%)
   → 皮膚に直接刺激を与え皮膚にある角質のバリア機能が破壊され炎症が起こったり、
    免疫機能の抗体反応として炎症を起こすため。ステロイド軟膏や抗ヒスタミン
    外用剤で対処療法を行うか、または休薬する。
 
・吐き気や食欲不振などの消化器症状(特に飲み始めと増量期:610%)
   → アセチルコリン増加で副交感神経優位となりすぎて、胃酸過剰分泌や消化管の
    過活動によるもの
 。

このような症状がみられた場合は減量、または消失するまで休薬する。

休薬期間が
4日程度の場合は、休薬前と同じ用量又は休薬前より1段階低い用量で投与を再開する。それ以外の場合は本剤4.5mgを用いて投与を再開する。投与再開後は、再開時の用量を2週間以上投与し、忍容性が良好であることを確認した上で、減量前の用量までは2週間以上の間隔で増量する。 

<特徴>
   貼り薬は、つねに薬が皮膚から吸収され続けるので、体内の薬の濃度をほぼ一定
  に保つことが可能。万が一、薬による副作用が生じた場合には、剥がしてしまえば、
  薬の吸収をすぐ止めることが出来る。
   日本初の貼付タイプのアルツハイマー型認知症治療薬。
   11回の貼付であるため、投与が簡便で、かつ使用状況が視覚的に確認でき、
  服薬管理が容易になる。

 
<使用上の注意>
   本剤の成分またはカルバメート系誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者には投与禁忌。
   本剤の投与により、徐脈、心ブロック(洞房ブロック、房室ブロック)、
  QT延長等が現れることがあるので、特に心疾患を有する患者や低カリウム血症等の
  ある患者には、重篤な不整脈に移行しないよう観察を十分に行う。
   本剤は、背部・上腕部又は胸部の正常で健康な皮膚で、清潔で乾燥した体毛が少ない、
  密着した衣服を着用してもこすれない箇所に貼付すること。
   本剤を貼ったまま入浴しても構わない。  
   貼付箇所の皮膚を拭い、清潔にしてから本剤を貼付すること。
   皮膚の損傷又は湿疹・皮膚炎等がみられる箇所には貼付しないこと。
   貼付する箇所にクリーム、ローション又はパウダーを塗布しないこと。
   皮膚刺激を避けるため、貼付箇所を毎回変更し、繰り返し同一箇所には貼付しないこと。
   原則、1回につき1枚のみ貼付し、貼付24時間後に新しい製剤に貼り替えること。
    本剤は新医薬品であるため、薬価収載後1年を経過する月の末日までは、
  投薬期間は
114日分を限度とする。 

<併用>
レミニールやアリセプトとは作用機序が同じであるため併用せず、切り替えて使用する。
その場合、副作用に注意しながら各々の開始用量から切り替えを始める。
NMDA受容体拮抗薬であるメマリーとは併用可能。

 
<考察>
イクセロンパッチの規格は、4.5mg9mg13.5mg18mgと効果発現までに4段階つまり12週間もかかる点は少し残念です。しかし、貼付剤は日本で始めての剤形で、コンプライアンス向上に多いに繋がると思うので患者さんにとって素晴らしい薬になれるような気がして市場販売が楽しみです。 

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