2010年10月01日
「トラマール」についての勉強会をしました。

「トラマール」勉強会
                                                        2010914
                                                       By DT@妹尾店       
2010年発売(日本新薬)
カプセル: 25mg、50mg
一般名: トラマドール塩酸塩
用法:    通常、成人には1日100300mgを4回に分割経口投与。適宜増減。
      但し、1回100mg、1日400mgまで。
      初回は、1回25mgからが望ましい。
      レスキュー投与ができる。(1回投与量は、定時投与中1日量の1/81/4

 
<特徴>
Ÿ   低用量モルヒネ(2060mg/日)と同等の鎮痛効果(=トラマール常用量の100300mg/日)
  があり、モルヒネとの効力比(切り替え用量)も明らかになっている。
       ⇒軽度から中等度の癌疼痛に有効。WHOの3段階除痛ラダーの2段目に位置し、
         NSAIDs単独で無効なら次に使用を検討。
  ※効果の立ち上がりもほぼ同等
         モルヒネ30分〜1時間
         トラマール30分〜

Ÿ  
鎮痛効果はトリプルアクション(オピオイド作用、ノルアドレナリン再取り込み阻害作用、
 セロトニン再取り込み阻害作用)
による。オピオイド作用は、上行伝導路
 (グルタミン酸、サブスタンスPなどの興奮性伝達物質の放出)の抑制。
 SNRI作用は下行抑制路(ノルアドレナリン、セロトニンは侵害刺激の抑制に関与)の活性化であり
 鎮痛補助的だが、神経障害性疼痛にも良い。主にトラマドール塩酸塩がSNRI作用、その代謝物が
 オピオイド作用を示す。
     ⇒オピオイド鎮痛剤はもちろん、SSRI等のセロトニン作用薬も併用注意。メーカーによると、
       SNRIも併用注意と考える。 (理由は、セロトニン症候群の可能性のため)

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Ÿ   副作用について。
 Ø  モルヒネと比べて、便秘が少ない。
     理由…消化管におけるオピオイドμ受容体の結合親和性の差
          (μ受容体親和性はモルヒネはトラマールの10倍)
           ※SSRISNRI作用により鎮痛効果は補われ、mg数効力比は5倍になっている。
            低用量モルヒネ2060mg/日=トラマール常用量100300mg/
 Ø  依存性が少ないのも、中枢において同様に考える。
 Ø  その他の副作用で5%以上のものは、傾眠、浮動性めまい、頭痛、悪心、嘔吐、食欲不振、便秘

Ÿ  
医療用麻薬、向精神薬に指定されていない。 

<その他>
Ÿ   (注射剤があるので中身は水に溶けやすいが、カプセルを外さなければ)一包化可
Ÿ   脱カプセルは現在検討中。苦味がある。
Ÿ   腎排泄

 
<考察>
 非麻薬のオピオイドでありながら、低用量とはいえ麻薬であるモルヒネと同等の鎮痛薬は非常に有用といえる。“麻薬でない”ということで医療側にとっては管理がしやすく、患者にとってはより抵抗感なく使える。実際に便秘に関しては、鎮痛効果を得ながら発現率、程度が少ないというデータがある。中等度までの癌疼痛に対し、1つの大きな選択肢ができた。
以上