2010年03月27日
食後高脂血症について 「ゼチーア」の勉強会(バイエル)
食後高脂血症について
「ゼチーア」勉強会(バイエル)
2010312
DT@妹尾店

 
近年、食の欧米化、ファーストフード普及により高脂血症患者が増えてきた。中でも、「食後」高脂血症患が注目されるようになった。放置しておくと、心筋梗塞や脳卒中など心血管イベントにつながる恐れがある。

 
「食後」高脂血症とは・・・
食後の高TG血症が顕著で、それが持続している病態。
肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病の患者に多くみられる。

 脂質負荷試験を行うと、通常であれば3〜4時間で代謝されるものが、食後高脂血症の患者では6時間たっても血清は乳び化したままでTG値は高値のまま、むしろ上昇している。次の食事のタイミングを考えれば、これは起きている間は食後のTG高値が持続していることを意味する。

 
ファーストフードセットの脂質負荷試験でゼチーア投与前→後で、LDL20%ほど安定して低下。TGは、脂質負荷前ではさほど低下効果は見られなかったが、食後のTG上昇はゼチーアにより著名に抑制された。また、負荷2時間後ではインスリンスパイクがあったが、ゼチーアでそれが有意に抑制された。(FESTA試験では120例、ゼチーア10mg/日、12W後、HA1C6.2±1.0 → 5.9±1.0というデータ有り)インスリン感受性に好影響を及ぼしたと考える。  

◎ゼチーアが食後のTG上昇を抑制する理由
 小腸経由のコレステロールを吸収阻害することで、小腸で合成されるカイロミクロンに取り込まれるコレステロールが枯渇し、カイロミクロンが作られなくなり、高脂血症の本体であるカイロミクロンやその代謝産物のレムナント(カイロミクロン、レムナントとも本来はTGが多く含まれる)の分泌が抑制されると考えられる。 

◎ゼチーア使用のオススメ患者
肥満、メタボリックシンドロームを合併していて、食事療法で効果が不十分と判断される高コレステロール血症の患者(LDLをあと30mg/dl下げたい方)
マイルドスタチンと同程度の降下作用があるとのこと。 


<感想>
今回はDVD視聴中心の勉強会。動画も入っているので、視覚的に分かりやすかった。全体を通してみると、ゼチーアはやはりコレステロールトランスポーター阻害剤としてがメインで、他のHA1C低下や食後TG抑制効果はあくまで補助的。しかし、+αの知識として持っておきたい。
以上

 
2010年03月19日
「デュロテップ®MTパッチ」の勉強会をしました。
 「デュロテップ®MTパッチ」の勉強会をしました。
20100317日 H.O.@元内尾店

 

勉強会の内容
効能・効果の追加承認について
確認書を用いた流通管理体制の概要について
使用時の患者さんへの注意点
ど作用の発現について

効能・効果の追加承認について
 2010120日より、デュロテップ®MTパッチの効能・効果に「中程度から高度の慢性疼痛における鎮痛」が追加承認されました。

 【効能・効果】非オピオイド鎮痛剤及び弱オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患における鎮痛
(ただし、他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する場合に限る。)
 中程度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
 中程度から高度の慢性疼痛における鎮痛 


承認条件と確認書を用いた流通管理体制の概要について
〔承認条件〕
「慢性疼痛の診断、治療に精通した医師によってのみ処方・使用されるとともに、本剤のリスク等についても十分に管理・説明できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ用いられ、それら薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。」
 → 承認条件を満たすために、薬局で慢性疼痛の患者さんへデュロテップMTパッチを調剤する場合は、麻薬処方箋とともに処方医から交付された「確認書」の提示が必要となります。

 
〔適正使用流通管理の概要〕
デュロテップMTパッチを慢性疼痛に対して処方する医師は、慢性疼痛治療および本剤の流通管理に関するトレーニング(e-learning)をあらかじめ受講する。トレーニングに合格すると、医師に確認書(医師保管用と患者さん保管用がくっついたもの)が送信される。
         
医師が慢性疼痛の患者さんにデュロテップMTパッチを処方する時は、医師は患者さんに注意説明を行い、確認書へ患者さんの署名をもらう。その後、確認書を2つに切り、片方は医師保管用、残りの片方は患者さん保管用となる。
         
患者さんは処方箋と確認書を持って薬局へ。薬剤師は確認書を確認した後、デュロテップMTパッチを調剤する。確認した後、確認書は患者さんに返す。
 確認書は慢性疼痛に使用される時のみに必要!癌性疼痛では必要なし。


 使用時の患者さんへの注意点効能・効果の追加承認に伴い、【警告】も追加されました。

【警告】
「本剤の温度が上昇するとフェンタニルの吸収量が増加し、過量投与になり、死に至るおそれがある。本剤貼付中は、外部熱源への接触、熱い温度での入浴等を避けること。発熱時には患者の状態を十分に観察し、副作用の発現に注意すること。」 

そのため、以下の点について患者さんに注意をお願いします。
40℃以上の発熱がある場合は、すぐに医師や医療機関に連絡すること。
・熱源をパッチ貼付部位に当てないようにすること。
 熱源例:こたつ、電気パッド、電気毛布、カイロ、湯たんぽ、
 サウナ、赤外線灯など
・入浴する際には、熱いお湯に入ることは避けること。お湯の温度は40℃
 を目安にする。
・入浴する際には、貼付部位をお湯に浸さないよう、またシャワーを当てない
 ようにすること。
・もし、呼吸数の減少、一回換気量減少、呼吸困難徴候等が現れた場合はただちに
 パッチをはがし、すぐに医師や医療機関に連絡すること。


オピオイドの副作用の発現について
●フェンタニルとモルヒネの差
μオピオイド受容体にはμ1μ2のサブタイプがあり、μ1は抗侵害作用(鎮痛)に、μ2は消化管輸送抑制作用(便秘)に関係しています。
モルヒネはμ1μ2ともに強く作用するため、副作用として便秘が起こりやすくなります。しかし、フェンタニルはサブタイプ選択性を持っておりμ1への作用は強いですが、μ2への作用は弱いため副作用が起こりにくいとされています。

●経口剤と貼付剤の差
オピオイドによる便秘、胃内ガス貯留、腹部膨満などの症状はOBDOpioid-induced Bowel Dysfunction)と呼ばれます。OBDは消化管内に多く存在するμ受容体が関係していると考えられています。
経口剤は服用後に消化管を経由するため消化管内のμ受容体を刺激しOBDが発現しやすくなりますが、貼付剤は消化管を経由しないためOBDの発現が起こりにくいとされています。

感想〕
デュロテップMTパッチの追加承認が行なわれたことにより、慢性疼痛に対する有力な選択肢が1つ増えました。慢性疼痛に悩む患者さんにとって非常に嬉しいことだと思います。
ただ問題点もあり、事前に処方医がe-learningをしなければいけない点や、確認書の授受のシステム等の周知には時間と労力が必要と思われます。
しかしながら、モルヒネからフェンタニルに変更することにより次のことが考えられます。

  使用法が簡単になる。
  副作用の軽減も考えられる。
  疼痛のコントロールがより確実になる。

これらにより患者さんのQOLは改善され、また患者さんとご家族や周りの方々との接し方が温和になったり、今までできなかったことが患者さん自身でできるようになれば、周囲の方々のQOLまでも改善が期待できると思います。この薬剤は慢性疼痛の治療において非常に有用な選択肢になるのではないでしょうか。   


 
2010年03月14日
レザルタスの勉強会をしました。
高親和性ARB/持続性Ca拮抗薬配合剤
「レザルタス配合錠LDHD」の勉強会をしました。
  
H2233日(水) MI♀@東畦店

 
降圧薬オルメサルタン メドキソミル(オルメテック)とアゼルニジピン(カルブロック)
の配合剤                 
20101月製造承認 

 ☆組成・性状
レザルタス配合錠LDは、オルメサルタン メドキソミル10アゼルニジピン8咾魎淪する円形状。
レザルタス配合錠HDは、オルメサルタン メドキソミル20アゼルニジピン16咾魎淪する長円形状。 
割って使うケースを考えていないのと、半分にしても均一とはいえないため、割線はなし。 

☆効能・効果
  高血圧症
 
ただし過度の血圧低下のおそれ等があるため、高血圧治療の第一選択薬にはできない。
その理由は、降圧薬は低用量から開始し、効果不十分な場合には、
増量または他剤併用という方法がとられるのが一般的だから。

 
☆用法・用量
 通常、成人には1日1回1錠(オルメサルタン メドキソミル/アゼルニジピンとして10/8咾泙燭20/16咫砲鯆食後に経口投与する。

 
☆用法・用量に関連する使用上の注意
・オルメサルタン メドキソミルとアゼルニジピンの用法・用量をふまえ、患者毎に用量を決める。

・原則としてオルメサルタン メドキソミル及びアゼルニジピンを併用している場合、あるいはいずれか一方を使用し血圧コントロールが不十分な場合に、レザルタス配合錠への切り替えを検討する。

・原則として、増量は1つの有効成分ずつ行う。

 
☆レザルタス配合錠の特徴
・オルメサルタン メドキソミル及びアゼルニジピンの各単剤投与よりも強い降圧効果を示す。
・用量依存的に降圧効果を示す。
・投与2週から降圧効果を示す。
24時間にわたり安定した持続的な降圧効果を示す。
・心拍数への影響は認められない。強い降圧効果を示すにもかかわらず、降圧に伴う反射性頻脈をほとんど発現しない。(アゼルニジピンの交感神経抑制作用に起因するため。)
・主な副作用は、めまい、立ちくらみ、頭痛、動悸等であり、オルメサルタン メドキソミル及びアゼルニジピン単剤と同等で、レザルタス配合錠特有の副作用は認められなかった。

 
☆JSH(日本高血圧学会)ガイドラインで推奨されている併用療法の比較   
ACE阻害薬+Ca拮抗薬の併用群と、ACE阻害薬+利尿薬の併用群では、 前者の方が心血管系イベントに対する抑制が優れている。 この事から、薬剤間による降圧効果の持続性や血管に与える影響に違いがあるのではないかと考えられた。

Ca拮抗薬+ACE阻害薬の併用群と、β-遮断薬+利尿薬の併用群では、わずかではあるが前者の方が心血管系イベントを16%有意に抑制した。 両群とも上腕血圧に及ぼす影響は同等だったが、中心血圧(大動脈血圧)の低下作用は、Ca拮抗薬+ACE阻害薬併用群の方が大きく、この事が心血管系イベントの差につながったのではないか?と考えられた。 

☆中心血圧とは?
心臓が血液を送り出す部位(大動脈起始部)の血圧のことで大動脈血圧ともいう。近年の研究により、中心血圧が上腕血圧とは独立して心血管イベントと関連し,高血圧に伴う臓器障害退縮のマーカーとなる可能性が示唆されている。

心臓カテーテルを使った侵襲的な測定ではなく、橈骨動脈脈波から非侵襲的な
中心血圧の測定が可能となったことで、心血管病リスク評価の新しい手段として注目されている。

大動脈と小動脈では、血管壁成分や血管径の違いにより、左室から駆出された
血液は大動脈から末梢に伝わる間に圧波が増幅されて、上腕血圧の方が数Hg高値を示す。最近この中心血圧と上腕血圧に対し、薬剤間で降圧度に違いがあることが報告されている。 

ARBCa拮抗薬の併用群とARB+利尿薬併用群では、上腕収縮期血圧及び 24時間収縮期血圧の低下は、いずれも両群間で差は認められなかった。 しかし、中心収縮期血圧の低下は、前者の方が後者よりも有意に低下した。

 
☆中心収縮期血圧低下の差に関する2つのメカニズム
ARBCa拮抗薬を併用することによって、利尿薬併用と比較して末梢の筋性動脈がより拡張され、圧反射波の大きさが著明に減少したためと考えられる。

Ca拮抗薬が交感神経活性を抑制することで血管の緊張が緩和され、大動脈脈波 伝播速度が低下し、末梢から心臓への反射波の戻りが遅延したためと考えられる。 

☆まとめと感想
オルメサルタン メドキソミル及びアゼルニジピンの各単剤よりも、24時間にわたり強い降圧効果を示し、心拍数に影響を与えないにもかかわらず、レザルタス配合錠特有の副作用がない。という特徴を持っているので、投与量が安定している患者さんにとっては、レザルタス配合錠1剤を服用するだけでいいという手軽さは、負担が少なくていいなと思いました。

しかし、患者毎に用量を決める必要があり、増減する場合は1つの有効成分ずつ
行なわなければならない等、投与量を決めるにあたり煩雑な面があるところには使いづらさを感じました。

一方では、
ARBCa拮抗薬を併用することで、最近注目されている中心血圧下げて心血管系イベントを抑制することができるのであれば、他薬剤の特徴を踏まえながら、より細やかな降圧治療ができるようになるのではないかと思いました。

ただ、橈骨動脈から測ることのできる血圧計が高価であり、一般的にまだあまり
普及していない事は残念であり、今後身近な血圧計になることを期待したいと思います。