2011年05月21日
抗凝固薬「プラザキサ」の勉強会をしました。
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脳梗塞治療薬の「プラザキサ」の勉強会をしました。

by KG@東畦店 

これまで経口抗凝固薬としてワーファリンが長く用いられてきたが、今回経口抗凝固薬としては約
50年ぶりにプラザキサが承認販売された。以下、主にワーファリンと比較しながら、プラザキサについてまとめていきます。 

〔効果・効能〕
非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発生抑制

〔用法・用量〕
75mgカプセル12カプセルを12回投与
必要に応じて(中等度の腎障害・出血の危険性高い患者など)110mgカプセル1
    1カプセルを12回投与 

 《作用機序》
ワーファリンとは坑凝固系での作用点が異なり、直接トロンビンを阻害する。プラザキサは、血液凝固カスケードの中心的役割を担うトロンビンの活性部位に結合してその活性を阻害し、血栓形成抑制作用を持つ。 

【臨床成績】
臨床成績(日本人を含む、脳卒中リスクを有する非弁膜症性心房細動患者を対象とした第形蟾餾欟ζ瓜邯魁砲砲いて、プラザキサ150mg2回/日投与はワーファリンに対して、脳卒中/全身性栓塞症の発症率、及び頭蓋内出血の発病率を有意に低下させた。
なおプラザキサは、この第形蟾餾欟ζ瓜邯海鮓気望鞠Г気譴燭、日本での効能・効果は上記の通り。 

《特徴》
·         これまでワーファリンを経口投与するときは、ワーファリンに対する個人差が大きいため、
  定期的に血液凝固能をモニタリングしてそれに伴い用量調節することが必
要であったが、
  プラザキサはその必要はなく予測可能で安定した抗凝固作用を持つ。

·         ワーファリンは、肝臓におけるビタミンK依存性血液凝固因子の生成を抑制することに
  より作用を持つので、十分な効果発現まで
3648時間を有したが、プラザキサの効果発現
  は速やか。またこの作用機序のためワーファリンは、ビタミンKを含有する食物(
  納豆、青汁など)の摂取制限があったが、プラザキサにはない。

·        
腎排泄:〜80%

·        
薬物相互作用が少ない。併用禁忌:イトラコナゾール 

【使用上の注意点】
  ☆手術や侵襲的手技前における投与中止期間
   出血の危険性が増大するため、危険性に応じて本剤の投与を一次中止すること。
   可能なら24時間前に投与中止。完全な止血機能を要する大手術や、
   出血の
危険性の高い患者対象の場合は2日以上前までの投与中止を考慮。
      また腎機能の低下した患者で出血リスクが高い場合、最長
4日間の投与中止を考慮する。

    ☆服用し忘れた場合の注意事項
6時間以上の服用間隔が必要。気がついた際にできるだけ
   早く
1回量を服用し、次の服用まで6時間以上空ける。
   決して
2回量をまとめて一度に服用しない。

  ☆保管についての注意事項
プラザキサは吸湿性の高いため、アルミピロー包装
   のまま保管し、使用直前に包装から出して使用すること。したがって一包化はできない。

【副作用】
  
☆主な副作用として消化不良がある。これは内服薬にするため使用している酒石酸に
   よると考えられる。早期(服用後
12)に発現することもある。
   この副作用を軽減するためには、次の対処法がある。
       食後に服用 多くの水と一緒に飲む。H2ブロッカーやPPIを併用

  ☆ 重要な副作用としては、出血
(頭蓋内出血、消化管出血など)があらわれること
    があるので注意
 

 《心房細動患者の抗凝固療法について》
  心房細動は高齢者に多くみられ、今後も増加すると予測されている。
  心房細動は心原性脳塞栓症の原因となり、心原性脳塞栓症の予後は不良なので「予防」が大切。

  この「予防」のために心房細動患者の抗血栓療法には、抗凝固療法が推奨されていて、
  これまでワーファリンが長く使われてきた。ワーファリンは、僧帽弁狭窄症、
  人工弁置換後やステント療法後の血栓予防などにも広く使われている。
 

〔考察〕
これまで長い間、経口抗凝固薬として使用されるのはワーファリンのみであった。ワーファリンは感受性の個人差が大きく治療域が大変狭いため、定期的にモニタリングする必要があり、きわめて多くの薬や食物と相互作用がある薬ではあるが、人工弁置換後の抗凝固療法などに確実な効果が立証されているなど、確かな効果が認められ、血栓塞栓症の予防に広く使われている。

今回約
50年ぶりに経口抗凝固薬が販売されたと聞いて驚かされたが、プラザキサはワーファリンよりも効果が有意に大きい上、使用法が簡便で副作用も比較的軽く、短時間で効果があらわれるなど、将来的に有望なデータが出ている。非弁膜症性心房細動患者以外のデータがまだないなど、データがまだまだ不足しているので、適応が広がっていくのはこれからであろうが、良い臨床データが出ればよいと思った。

プラザキサは、ワーファリンよりは頭蓋内出血などの重大な副作用は少ないものの、慎重な服用は必要な薬であると感じた。そのためにも、確実な治療上の指標の確立が重要であろう。将来的には
APTTがその指標になる可能性があるということであった。

 
APTTとはAPTT:活性型部分トロンボプラスチン時間のことで内因凝固系のスクリーニング検査として用いられる。
XII因子やXI因子などを活性化する活性化剤を被検血漿に加えてフィブリンが析出するまでの時間を測定するもので  ある。基準値(25.539.8秒)