2011年01月20日
「クラリシッドの勉強会をしました。
「クラリシッド」の勉強会をしました。

非定型菌や14員環マクロライドの非抗菌作用についても書いています。

                               平成23年12月20日     By AN@妹尾店
【作用】
菌のリボソームの
50Sサブユニットに作用し、蛋白合成を阻害する。
マクロライドって?
→エリスロマイシンから始まる大型ラクトン環を構造に持つ化合物の総称。
14員環:エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン
15員環:アジスロマイシン
16員環:ジョサマイシン、スピラマイシン、ミデカマイシン、ロキタマイシン
23員環:タクロリムス(免疫抑制) 

【特徴】
   非定型病原体を含む広い抗菌スペクトルを持つ
では「非定型病原体」とは?
→非定型病原体という病原微生物のジャンル。これは非定型肺炎の原因となる微生物を一括りにしたもので、現在ではマイコプラズマ、肺炎クラミジア、レジオネラ菌の3病原体を指すものとされている
非定型肺炎自体の定義は曖昧ですが定型(一般的な細菌性肺炎)ではないということで、
1)肺炎像が確認されても痰の一般的な染色検査で起因菌が同定されないこと。
2)市中肺炎で多い肺炎球菌に有効なペニシリン系やセフェム系抗生剤が無効である。
以上の二つを満たすものとされている。

非定型病原体による主な症状は?
→急性気管支炎:咳嗽は激しく主症状で長期化することがある。
        症状はしばしば重症で、いわゆる急性炎症性疾患を呈することがある。
        (インフルエンザウィルス、アデノウィルス、百日咳菌、マイコプラズマ、
         肺炎クラミジア)
   違い…かぜ症候群:咳嗽が主症状ではなく、鼻症状や咽喉頭症状が主である。
           咳嗽は通常7〜10日間で沈静化する。高熱を伴うことはない。
          (ライノウィルス、コロナウィルス、パラインフルエンザウィルス、
                                           RSウィルス、インフルエンザウィルス、アデノウィルス) 

特に百日咳は例年
214歳が多かったが、2008年から20歳以上の発症率が増加している。  

 
   呼吸器症状の早期改善と感染拡大の防止、高い組織移行性を持つ=重篤化の抑制
咳嗽症状持続期間と感染症の関係は?
  急性咳嗽    遷延性咳嗽    慢性咳嗽
発症〜約3週   約3〜8週   8〜10週以上 
---------------------------→

感染症による咳嗽はここまで 

咳嗽治療のガイドラインより
マイコプラズマ呼吸器感染症:マクロライド系が最も有効であるが、テトラサイクリン系、
              ニューキノロン系も選択される。
              投与期間は持続排菌例が見られることがあるので
710日が一般的
百日咳:マクロライド系抗菌薬が第一選択。症状発現より710日後に投与開始しても症状軽減には
     至らないが、除菌を行い周囲への拡散を防ぐため投与が推奨
される。

 
つまり、投与可能な最大投与量を短期間投与するのが大切!!
感染症を周囲に蔓延させない!

 
他薬と比べ体内分布の特徴は?
サワシリン(アモキシシリン)     細胞外濃度>細胞内濃度
ジスロマック(アジスロマイシン)   細胞外濃度<細胞内濃度
クラリシッド(クラリスロマイシン)  細胞外濃度=細胞内濃度←バランスよく移行!! 

マクロライドは上下気道に高濃度に移行し、セフェム系に比べ扁桃組織に移行しやすい。
3日間投与後の咳嗽改善度結果⇒経口セフェム系36.1%<クラリスロマイシン61.7
RSウィルス感染乳5日間投与後の鼻水消失率⇒非投与約15%<クラリスロマイシン50
消失率に差!!
患者の症状を長引かせない!症状重篤化を防ぐ! 

  
14員環マクロライドの非抗菌作用
   宿主の免疫反応調整
   気道過分泌の抑制=気道粘膜を正常にする
   宿主の防御因子の活性化
   細菌の病原因子の産生抑制  

 
   ガイドラインに基づく抗菌薬の適正使用
新たに拡大した効能・効果・用法用量
非結核性坑酸菌症
MACは水周りに広く常在。中高年女性に多い。症状は咳・痰・微熱など軽症だが咳が長引く)
<適応菌種>本剤に感性のマイコバクテリウム属
<適応症>マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性坑酸菌症
<用法用量>通常成人にはクラリスロマイシンとして1日800咫蔑浪繊砲鬘臆鵑吠けて経口投与。
      年齢・症状により適宜増減。
      (クラリスロマイシン単独では容易に耐性化するので、
       +リファンピシン・エタンブトールの3剤併用を基本)

新適応症「
H.pylori除菌療法」
ヘリコバクター・ピロリ感染症
<適応菌種>本剤に感性のヘリコバクター・ピロリ
<適応症>胃潰瘍・十二指腸潰瘍、MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、
       早期胃がんに対する内視鏡的治療後胃(EMR
における
      ヘリコバクター・ピロリ感染症。

 
   クラリシッドの副作用
消化器症状(下痢、吐気、胃部不快感、腹痛、等)が主で92%。次に皮膚症状(発疹)24%となる。  

【考察】
マイコプラズマ肺炎は今まさに流行しており、去年からこの季節になるとよくテレビでも言われています。周囲に空気感染しやすく、風邪に似た症状で、長引く咳、予防ではうがい、マスクと部屋の湿度を5560%に保つこと、感染した方と部屋を別にすることなどが挙げられます。今回の勉強会では、クラリシッド早期投与と血中濃度の重要性、有効性を改めて知ることができたので、周囲に感染を広げないためにも予防方法と、コンプライアンスの重要性と家庭での予防をしっかりお伝えしていきたいと思いました。


 
2011年01月15日
アトピーへ適応拡大になった乾癬治療薬「ネオーラル」の勉強会をしました。

「ネオーラルカプセル」の勉強会をしました。

平成23年1月15日     By AN@妹尾店


ネオーラルカプセルの主成分であるシクロスポリンは、真菌から分離して作られ
1985年にサンディミュンカプセルとして発売された。
サンディミュンカプセルは油をベースとした製剤で、問題点として
・胆汁酸分泌量、食事の影響を受けやすい
・吸収不良の患者では1030%しか吸収されない
・トラフとAUCの相関が低い
・個体差が大きい
等が上げられる。

 
ネオーラルカプセルはO/W型マイクロエマルジョンを形成した製剤で、水に触れると乳化し速やかに吸収される胆汁酸分泌量や食事の影響を受けにくい、サンディミュンカプセルを改良した製剤である。
サンディミュンカプセルでは、食後服用でAUC36%上昇し、Tmax2.8時間から4.6時間に延長する。
それに対しネオーラルカプセルはTmaxは食前食後変わらず、ピークは食前のほうが早くなる。
サンディミュンよりバイオアベラビリティが向上しており、サンディミュンからの切り替えの際は血中濃度上昇による副作用の発現に注意しなければならない。
その他、子供のほうが血中濃度が上がりやすく、代謝が早い。
また、糖尿病を合併しいてるとAUCが上がりにくいので注意が必要である。  

【ネオーラルカプセルによる乾癬治療】
乾癬とは皮膚が赤く盛り上がり、その上に乾燥した白い垢が厚く付着しぽろぽろと剥がれ落ちる皮膚の病気で、感染等の心配はない。
根本的な治療はなく、再燃を繰り返すので症状がよくなっている期間を長くすることが目的とされる。 

乾癬の
90%は尋常性乾癬で、他液状乾癬や関節症性乾癬・乾癬性紅皮症・膿疱性乾癬がある。
男女比は男:女=2:1、男性では40代、女性では1050代での発症が多い。
原因は分かっていないが遺伝的素因がある程度関係し、ストレスや薬などのさまざまな外的要因や病気などの内的要因が加わって、発病・悪化するのではないかと考えられている。
また、免疫反応の異常で起こる炎症性疾患ではないかと言われている。

 
乾癬治療の第一選択はビタミンD3製剤およびステロイド外用剤で、ネオーラルは皮疹が全身の30%以上に及ぶものあるいは難治性の場合に用いられる。

 
乾癬治療時のネオーラルの初期用量は2.55mg/kg/day12回経口投与。
0.51mg/kg/dayを目安に適宜増減を行うが、最高用量は5mg/kg/day
副作用が懸念される場合は0.51mg/kg/dayを目安に適宜減量する。
3ヶ月を目安に効果を確認し、治療方針を検討する。  

【ネオーラルカプセルによるアトピー性皮膚炎治療】
200810月に新たにアトピー性皮膚炎への適応が追加になった。

 
アトピー性皮膚炎とは増悪・寛解を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患。
多くは家族歴・既往歴(気管支喘息・アレルギー性鼻炎/結膜炎・アトピー性皮膚炎)またはIgE抗体を産生しやすい、アトピー素因を持つ。
アトピー素因はアレルギー性の炎症反応を引き起こしたり、セラミド(角質細胞間脂質)減少によって乾燥肌になる皮膚バリア機能障害を引き起こし、アトピー性皮膚炎を引き起こす。
左右対称性に発症し、年齢によって好発部位や皮膚症状が異なる。

 
適応は16歳以上の最重要患者および既存治療で十分な効果が得られない患者。
成人に対しては初期用量は35mg/kg/day12回経口投与。
症状により適宜増減を行うが、最高用量は5mg/kg/day
投与期間は出来る限り短期間にとどめ、初期に皮疹の改善が見られた場合は投与中止し通常の治療法に戻す。
8週間の投与でも改善が見られない場合には投与中止、見られた場合でも1回の治療期間は12週間以内とする。
再投与する場合、休薬期間は2週間以上とする。  

【副作用等】
・血圧…RA系の亢進により血圧が上昇する。
・歯肉肥厚…ニフェジピン併用により現れやすくなる。
・振戦・頭痛・しびれ等…低マグネシウム血症による。
その他、腎機能低下、感染症、多毛、消火器症状、高カリウム血症、高尿酸血症等が現れた場合には適宜減量もしくは中止することが望ましい。  

【考察】
サンディミュンカプセルに比べ個体差が少なく、改良された素晴らしい製剤だと感じた。

アトピー性皮膚炎の適応追加により、難治性のアトピー性皮膚炎患者さんの治療の幅が広がったことは非常に喜ばしい反面、投与方法や副作用に十分な注意が必要であると思った。



 
2011年01月15日
心不全治療薬「アカルディ」の勉強会をしました。
「アカルディ錠」の勉強会をしました。
平成23年1月15日     By AN @ 妹尾店

 
アカルディはCa2+感受性増強作用及びPDE-3活性抑制作用を併せ持つ心不全治療薬である。

 
【心不全】心不全とは病名ではなく、症候群と考えられている。
・急性心不全 
  急性心筋梗塞、不整脈等により急激に症状が悪化し、
   放置するとしに至ることのある心不全。
  慢性心不全の急性増悪も急性心不全である。
  救命と血行動態の改善が求められる。
・慢性心不全
  心不全が徐々に進行もしくは急性心不全が致命的とならなかった結果、
   種々の代償機構が働いて平衡状態にある心不全。
  生命予後・QOLの改善が求められる。 
  慢性心不全の生命予後は良くなく、生存率は1年で約80%
   3年で5060%5年で3050%程度である。

 【アカルディの特徴】
アカルディは心筋ではCa2+感受性増強作用及びPDE-3活性抑制作用により心拍出量を増加させる。また血管ではPDE-3活性抑制作用により血管を拡張させ、前・後負荷の軽減及び冠血流量を増加させる。それぞれの作用によって心機能・血行動態を改善し、症状の改善と身体活動機能を向上させる。 

心不全の重症度は症状によって
NYHA新機能分類に分けられ、アカルディはclass2の中期〜class4まで幅広く使われている。

 
 【アカルディの臨床成績】
慢性心不全患者での長期生命予後に対するアカルディの安全性は確立されていない。しかし臨床試験結果より、慢性心不全患者においてアカルディの低用量長期投与は、複合心事故発生をプラセボ群に比し有意に低下させる。また長期投与は慢性心不全患者の予後に影響を与えず身体活動能力を有意に改善した。よって、従来の心不全治療にアカルディを併用することによりQOLが改善する。  

【考察】
生命予後の良くない心不全患者さんのQOLを高める薬剤の一つとして、非常に優れているのではないかと思った。他心不全治療薬と併用して幅広く使える本剤が、心不全で苦しむ患者さんの選択肢の一つとなることを期待したい。