2010年08月31日
ルミガンの勉強会をしました。
ルミガンの勉強会をしました。  
                                        2010年8月25日   byMH@東畦店

 ルミガン点眼液 0.03% プロスタマイド誘導体 緑内障・高眼圧治療剤 

〔成分〕   ビマトプロスト
〔効能・効果〕緑内障、高眼圧症
〔用法・用量〕1回1滴、1日1回点眼する。
       頻回投与により眼圧下降が減弱する可能性があるので、1日1回を超えて
       投与しないこと。

緑内障とその治療
緑内障の定義
視神経と視野に特徴的変化を有し、通常眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患。

 
眼の中には血管がないため、房水が血液の代わりに酸素供給を行っています。
房水の流れのどこかで通過障害が起こると眼圧が上昇します。
通過障害の好発部位は
   虹彩と水晶体の隙間
   隅角
   線維柱帯付近
正常眼圧は10〜20mmHgで21〜高眼圧症になります。

原発性緑内障及び高眼圧症の分類
緑内障
・開放隅角緑内障(POAG)
 隅角は開放状態、眼圧は高く、視野障害はゆっくり進行(慢性)、薬物治療
 眼底・視野検査にて異常あり。
・閉塞隅角緑内障(PACG)
 隅角は閉塞状態、眼圧は高く、視野障害は急速及び慢性、薬物治療及び早期の手術
・正常眼圧緑内障(NTG)
 隅角は開放状態、眼圧は正常、視野障害はゆっくり進行(慢性)、薬物治療
 眼底・視野検査にて異常あり。日本人に多く約57.3%。
高眼圧症(OH)
 隅角は開放状態、眼圧は高く、視野障害はない(緑内障に移行する場合もあり)
 経過観察または薬物治療。眼底・視野検査にて異常なし。
緑内障は多因子性疾患で多数の危険因子があります。
家族歴(遺伝)、高眼圧、糖尿病、近視、近視、酸化ストレス、低酸素、etc
視神経障害の治療効果についてエビデンスが確立されているのは眼圧降下治療のみのため、正常眼圧緑内障の治療も眼圧を下げることです。

眼圧に影響する因子
・年齢   日本では、年齢とともに眼圧が下がる。
      欧米では、年齢とともに眼圧が上がる。
・性別   男性より女性の方が眼圧が高い傾向にあるがその差は大きくない。
・全身状態 収縮期血圧が高いほど、眼圧は高い。肥満度が高いほど、眼圧が高い。
・日内変動 眼圧変動幅は健常人でも3〜6mmHgあり緑内障患者ではさらに幅が大きくなる。
      朝が高く、夜は低い
・体位変動 座位から仰臥位になるだけで眼圧が2〜6mmHg上昇。
      実際の生活での眼圧の変化は 日内変動+体位変動
・季節変動 あつい夏より、寒い冬の方が眼圧は高い。
      寒暖の差が大きい地域に住む人ほど季節変動が大きいといわれる。
・運動   運動直後に眼圧は一過性に下がる。その眼圧下降度は運動強度に比例して、
      運動量や運動時間の影響を受けない。
・嗜好品  アルコールを摂取すると眼圧がさがる。
      カフェインを含む飲料は眼圧に影響しない。
      喫煙はごくわずか眼圧を上昇させるとの報告あり。
・薬物   副腎皮質ホルモン剤、散瞳剤、抗ヒスタミン剤 

ルミガン点眼液開発の経緯
緑内障の治療は患者の視機能を維持させることが目的であるが、現時点で緑内障に対するエビデンスに基づいた唯一確実な治療法は眼圧降下方法のみである。
日本緑内障学会において作成された緑内障診療ガイドラインにおいて、薬物治療に関する留意点として「必要最小限の薬剤と副作用で最大の効果を得る」「薬剤の効果がない場合、効果が不十分な場合、あるいは薬剤耐性が生じた場合は、まず薬剤の変更を行い単剤治療をめざす」とされている。
このような背景から、強力な眼圧効果をもち、新規の作用機序を有する緑内障治療薬の開発が望まれている。
本剤の主成分であるビマトプロストは、米国アラガン社において新規に合成されたプロスタマイド誘導体(内因性の生理活性物質であるプロスタマイドF2α類似の構造を有する)で、強力な眼圧効果を持つことから、米国において20013月に0.03%ビマトプロスト点眼液が開放隅角緑内障および高眼圧症を適用症として承認され、その後84の国と地域(20097月現在)で承認されている。
日本では、千寿製薬が国内において緑内障および高眼圧症を対象とした臨床試験を実施した結果、有効性・安全性が確認されたことから、新規のプロスタマイド誘導体製剤として2009年7月に承認を取得した。
現在日本で発売されているプロスタグランジン関連薬は
プロストン系  イソプロピルウノプロストン(レスキュラ点眼液)
プロスト系 ・プロスタグランジンF2α系 ラタノプロスト(キサラタン点眼液)
                     トラボプロスト(トラバタンス点眼液)
                     タフルプロスト(タプロス点眼液)
      ・プロスタマイド系      ビマトプロスト(ルミガン点眼液)

薬効薬理
1)  ビマトプロストの化学構造特性と作用
 眼圧下降に関与する受容体にはプロスタグランジンF2α受容体(FP受容体)、
 プロスタマイド受容体(PM受容体)などがある。ビマトプロストは内因性の
 生理活性物質であるプロスタマイドF
2αに類似の構造および作用を有する
 プロスタマイドF
2α誘導体(プロスタマイド誘導体)で、ビマトプロスト自身
 がPM受容体に作用して眼圧下降効果を示すと考えられている。
 プロスタグランジンF
2α誘導体は代謝物(acid体)がFP受容体に作用して
 眼圧効果作用を示す。
2)作用機序  ビマトプロストはプロスタマイド受容体に作用して、ぶどう膜強膜流出路
 を介した房
水排出を促進することにより眼圧を下降させると考えている。

特徴
1)POAG及びOHにおける平均眼圧変化は−8.0mmHgで、眼圧変化率−30%を達成した
 症例の割合は
70.4%であった(投与12週間後)。
2)POAGOHおよびNTGで長期(52週間)にわたって安定した眼圧下降効果を示した
 (平均眼圧変化値:−
7.2〜−6.3mmHg)。さらに、いずれの疾患群でも平均眼圧変化率
 は期間を通して約−30%であった。
3)  日本初のプロスタマイド誘導体製剤で、ビマトプロスト自身が眼圧下降効果を示す。
4)  プロスタマイド受容体に作用し、主としてぶどう膜強膜流出路を介した房水排出を
 促進することにより眼圧を下降させる。

副作用
承認時の臨床試験での総症例323例中259例(80.19%)に副作用が認められた。
主な副作用は、睫毛の異常(46.13%)、結膜充血(45.51%)、眼瞼色素沈着(19.2%)、虹彩色素沈着(12.38%)、眼掻痒症(9.29%)
虹彩色素沈着は重大な副作用にて、患者を定期的に診察して、色素沈着が現れた場合には臨床状態に応じて投与を中止することとなっている。

使用上の注意
慎重投与
  〔疑緇渋隆磴泙燭牢稙皀譽鵐坐淨眼の患者(嚢胞様黄斑浮腫、及びそれに伴う視力低下
   を起こすとの報告がある。)
  眼内炎(虹彩炎、ぶどう膜炎)のある患者(類薬で眼圧上昇が見られたとの報告がある。)
  ヘルペスウイルスが潜在している可能性のある患者(角膜ヘルペスが再発したとの報告
      がある。
  でド悄∋塞悄⊆乳婦
重要な基本的注意
    本剤の投与により、虹彩や眼瞼への色素沈着(メラニンの増加)による色素変化、
  あるいは眼周囲の多毛化が現れることがある。
  これらは投与の継続により徐々に進行し、投与中止により停止する。
  眼瞼色調変化及び眼周囲の多毛化については、投与中止後徐々に消失、あるいは軽減する
  可能性があるが、虹彩の色調変化については投与中止後も消失しないことが報告されている。
  混合色虹彩の患者では虹彩の色調変化は明確に認められているが、暗褐色の単色虹彩に患者
  (日本人に多い)おいても変化が認められている。特に片眼投与の場合、左右眼で虹彩の色調
  に差が生じる可能性がある。これらの症状については、長期的な情報が十分に得られていない
  ので、患者を定期的に診察し、十分に観察すること。投与に際しては、これらの症状に
  ついて、患者に十分説明し、また、眼瞼色調変化、眼周囲の多毛化の予防あるいわ軽減のため
  、投与の際に液が眼瞼皮膚等についた場合には、よくふき取るか、
  洗顔するよう患者を指導する。
    本剤投与中に角膜上皮障害(点状表層角膜炎、糸状角膜炎、角膜びらん)があらわれること
  があるので、しみる、掻痒感、眼痛等の自覚症状が持続する場合には、直ちに受診する
  ように患者に十分に指導すること。
    本剤を閉塞隅角緑内障に投与する場合は、使用経験がないことから慎重に投与することが
  望ましい。(
opeすることが多いため)
    本剤の点眼後、一時的に霧視があらわれることがあるため、症状が回復するまで機械類の操作
  や自動車等の運転には従事させないよう指導すること。

相互作用
併用注意 プロスタグランジン系点眼剤
 
    キサラタン点眼液との併用にて眼圧上昇がみられたとの報告がある。機序は不明。
高齢者への投与 
     一般高齢者では生理機能が低下しているので注意すること。
妊婦・産婦・授乳婦への投与
 妊婦  妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。
     動物実験では流産・早産及び胎児毒性等が認められている。
     国内の臨床試験では妊婦・妊娠している可能性のある婦人は試験の対象から
     除外されている。
 授乳婦 授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を
     中止させること。動物実験では乳汁中に移行することが報告されている。
小児等への投与
     低出生体重児、新生児、乳児、幼児または小児に対する安全性は確立していない。
     使用経験がない。

適用上の注意 
     点眼用にのみ使用すること
     点眼後、液が眼瞼皮膚等についた場合はすぐにふき取るか、洗顔すること。
     (入浴前、洗顔前に使用を薦める)
     結膜充血を予防するため夜の使用を薦める 
     (充血は5時間後がピークになるため)
     コンタクトレンズを変色させることがあるので、点眼前に一旦レンズをはずして、
     点眼15分後に再装着すること。
     (最近は使い捨てタイプのコンタクトレンズを使用していることが多いため、
        Drによってはコンタクトをしたまま点眼しても良いとすることもある。) 

主な副作用で一番多かった睫毛の異常で睫毛の成長がありますが、それを利用して睫毛を
伸ばす目的で、欧米では違う名前で製品化されています。日本でもルミガン点眼液が発売されるまでは個人輸入で一万円以上の値段で取引されていたようです。発売後は、価格が下がり、美容目的で病院等の施設でも使用されています。

 
キサラタンとの比較
全てにおいて、眼圧を下げている。(短期・長期・平均等)唯一キサラタンとの有意差が出た薬剤である。
キサラタンからの変更により−3.6mmHg下がるとの報告がある。 

ルミガン点眼薬は、眼圧を下げることが、唯一の治療である緑内障の、目標眼圧−
30%を達成するための1剤です。副作用が多いため、使用方法、注意点の説明等、丁寧な説明を患者様に行いたいと思います。

 
2010年08月03日
「リリカ・カプセル」についての勉強会をしました。

リリカ®カプセルについて  
7月13日(火)はな薬局 東畦店
就実大学薬学部 実習生HN,NA

 
リリカ®カプセル(一般名:プレガバリン)は20104月現在、米国、欧州連合諸国、オーストラリア、カナダを含む世界105の国と地域で承認された薬剤であり、日本でも20104月に「帯状疱疹後神経痛」を効能・効果として承認された。2010622日にファイザーより発売。帯状疱疹後神経痛治療剤の第一選択薬として使用することができる。

帯状疱疹とは・・・
原因:
子供の時かかる水疱瘡が治った後、水痘・帯状疱疹ウイルスが神経節に何十年も潜み続け、ウイルスに対する免疫力が低下したときに再び増殖して活動を開始して、神経を伝わって皮膚表面に現れ水疱をつくり症状が出る。
症状:
皮膚のピリピリ感、鈍痛から始まり、その後4〜10日後に身体の左右どちらかに1本の神経に沿って痛みをもった発疹や小さな水ぶくれが帯状に出現する。通常は3〜4週間で治る。好発部位は上胸背部、額である。

 
帯状疱疹後神経痛とは…
痛みには「刺激や炎症による痛み」と「神経による痛み」がある。「刺激や炎症による痛み」はケガをしたときに感じるような痛みでケガが治るとなくなる。一方、「神経による痛み」はケガなどによって痛みを伝達する神経が傷ついてしまい、ケガが治っても長期にわたって痛みが続く。少しの痛みでも強い痛みに感じたり、何もしていないのに痛みを感じてしまうこともある。 

帯状疱疹では、前駆痛、急性帯状疱疹痛、帯状疱疹後神経痛の3つがある。
前駆痛・急性帯状疱疹痛・・・炎症性の痛み  ⇒ NSAIDsが有効
帯状疱疹後神経痛  ・・・神経による痛み ⇒ NSAIDsが効きにくい 

帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹の皮膚症状が治癒した後も焼けるような痛みや電気が走るような痛みが持続する難治性疼痛の1つと考えられている。


帯状疱疹から帯状疱疹後神経痛の移行率は約4%といわれている。

従来の治療薬:ノイロトロピン
リリカが発売されるまで日本では帯状疱疹後治療薬として1987年発売のノイロトロピン錠が用いられてきた。

鎮痛作用機序として、中枢性鎮痛機構である下行性疼痛抑制系神経の活性化作用、侵害刺激局所における発痛物質であるブラジキニンの遊離抑制作用や末梢循環改善作用等が考えられる。有効率は50%前後
ノイロトロピンは、痛みを抑える2 つの下行性疼痛抑制系神経の低下した働きを活性化することによって鎮痛作用を現すことが分かっている。

リリカの作用機序
Ca²⁺チャネルのα₂δサブユニットへの高い結合親和性によりCa²⁺のシナプス末端への流入を低下させ、興奮性神経伝達物質の過剰放出を抑制することにより過剰興奮したニューロンを鎮め鎮痛作用を示す。まだ明確にわかっていないことも多いが痛みの原因がCa²⁺チャネルの過剰流入によっておこる患者さんに効果がある。
このようにリリカは従来の疼痛治療薬とは異なる新しい作用機序の薬剤である。


 
リリカの用法・用量
リリカカプセル(25mg75mg150mg
成人には初期用量として1150mg12回にわけて経口投与。その後1週間以上かけて1日用量として300mgまで漸増する。1日最高用量は600mgを超えないこと。 

初回は夜に75mgから開始すると副作用発現率が低い。
中止する場合には少なくとも1週間以上かけて徐々に減量すること。
150mgまで漸減したら投与を中止しても良い。

 
リリカの特徴
  投与1週目から速やかな鎮痛効果を発揮する
  国内の長期投与試験によると、痛みの強度の軽減は4週目で約1/3減少、
  34週目以降で約1/2に減少していく
  長期服用しても鎮痛効果が減弱することなく治療効果が持続する
   ⇒ 優れた鎮痛効果 

  線形の薬物動態を示し、暴露量は用量に比例して増加する
  バイオアベイラビリティは83.997.7
  ⇒ 用量調節のしやすい薬物動態 
・ ほとんど代謝を受けず、腎より排泄される
  肝薬物代謝酵素チトクロムP450の各分子種の阻害作用は認められない
  ⇒ 相互作用を起こしにくい 

本剤は腎排泄がほとんどであるため、腎機能が低下、透析患者は投与量を減らす必要あり
肝臓で代謝を受けないため、肝障害の心配がない

多くの臨床試験により有効性および安全性が確認され、欧米においては帯状疱疹後神経痛を含む神経障害性疼痛の薬物治療ガイドライン/アルゴリズムの第一選択薬とされている。
末梢性神経障害性疼痛についても現在申請中であり、線維筋痛症については現在開発を進めている。

副作用について
副作用:浮動性めまい(23.4%)、傾眠(15.9%)、浮腫(10.7%)
食後に服用する方が副作用の発現が減少した。

感想今まで帯状疱疹後神経痛について知らなかったのでとても勉強になった。帯状疱疹は誰もがかかる可能性のある疾患であり、そのうち帯状疱疹後痛になった場合、痛みでQOLがガタンと落ちることは避けて通りたいものである。今までの鎮痛薬と異なる機序でリリカは鎮痛効果を発揮するため、希望を与えてくれる薬剤であると感じた。20106月に発売されたばかりなので患者さんが実際に使ってみたときの治療効果がどうなのかが気になるところだ。患者さんの中には布団によっても痛みを感じ、不眠になってしまう人もいるということなのでリリカを用いることで少しでも改善されたらいいと思う。



 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています