2006年08月04日
ミカルディスと最近のメタボリックシンドロームに関する講演会に行きました。
 「インスリン抵抗性と高血圧」というタイトルで、ミカルディスとともに最近のメタボリックシンドローム(以下、MS)に関する講演会がありました。勉強になったことがいろいろとありますが、箇条書きで挙げてみます。

MSの要素で一番根底にあるものは内臓肥満であり、心筋梗塞のリスクがより高くなる。また、肥満改善で皮下脂肪の吸引だけでは不十分で、内蔵脂肪を減らさないと心血管イベントのリスクは減らない。
・MSを考えるときの最近のキーワードに「脂肪毒性」というのがある。血中遊離脂肪酸の上昇を放置することがダメで、これがインスリン抵抗性やインスリンの分泌低下を招き、良くないとのこと。
・食(負荷)後のインスリン分泌量と内臓肥満には密接な関係がある。食後のインスリン分泌が多い(高インスリン応答の)方がMSのリスクは高くなる。
・最近のMSには上流、下流の考えがあり、上流の段階で策を打つことが重要とされる。上流には、前述のことをふまえて肥満(内臓脂肪の蓄積)やインスリン抵抗性、食後高血糖がある。特に日本人において最初に高血圧が見られやすい。この考えにおいて、ミカルディスの早期使用が注目されている。
テルミサルタン(ミカルディス)は、単にARBとして高血圧の改善だけに働くのではなく、核内受容体型転写因子PPARγの活性化により脂肪細胞の小型化など脂質異常の改善作用や、チアゾリジン誘導体(アクトス)のようなインスリン抵抗性の改善の働きも示す。しかし、あくまでメインの作用はARBであり、PPARγの活性化はpartial agonistである。ちなみに、PPARγの活性化は他のARBにはほとんど見られない。
・脂肪細胞からは様々なアディポサイトカインが分泌される。善玉と悪玉があり、インスリン抵抗性を改善するようなレプチン、アディポネクチンなどが善玉で、逆に亢進するのがTNF-α、レジスチンなどの悪玉である。ミカルディスには脂肪細胞の分化により、善玉アディポサイトカインの誘導作用もあると言われている。
・現在、日本で示されているMSの診断基準のひとつに、「ウエスト周囲長では男性≧85僉⊇性≧90僉内臓脂肪面積≧1002」があるが、国内のある調査では内臓脂肪面積は「男性の1002≒女性652(女性で厳密な年齢を言うと40−50代)に相当。」となった。また、それぞれウエスト周囲長に換算すると「男性の1002は86僂法⊇性の652は77僂冒蠹」が妥当だという結果になった。この調査により、年齢、性別を考慮した再評価が必要という結論を導いた。
・ウエスト周囲長には皮下脂肪が影響するので内臓脂肪を反映するとは限らず、CTで内臓脂肪面積を見るのがよいと言われている。

 このほか、低体重出生児は将来MSになりやすいデータが出ているというのも興味深いことでした。今回の講演会では、ミカルディスに降圧作用だけではなくPPARγの活性化による脂質異常やインスリン抵抗性の改善作用があることを知ったことが大きな収穫だと思いました。

妹尾店 D.T


 
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