2010年02月01日
シムビコートの勉強会をしました。
シムビコートの勉強会をしました。                     
H22.1.19 byMH@東畦店 

ドライパウダー吸入式喘息治療配合剤
シムビコートタービュヘイラー(30・60吸入)
ブテソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入剤 

ホルモテロールフマル酸塩水和物とは?
日本では「アトック」という薬品名で販売されている、内服のβ2受容体刺激剤(錠剤と小児用ドライシロップ)
吸入投与すると、少なくとも12時間効果が持続して作用発現が単時間作動型β2刺激剤と同程度に速やかであることを特徴とする。
ドライパウダー式吸入剤は日本では承認・販売されていないが世界各国ではCOPDの予防、緩解を適応として承認を取得している。

ブテゾニドは日本では「パルミコート」としてタービュヘイラー、吸入液が市販されています。
シムビコート160μg(容器から排出される量 delivered dose
=パルミコート200μg(容器内で量りとられる量 metered dose
1995年、ヨーロッパ薬局方へのドライパウダー吸入剤の記載に際して、吸入剤の薬物量を「delivered dose」で規格することに統一された。そのため1995年以前に開発が開始されたパルミコートは製品規格に「metered dose」が用いられている。

シムビコートタービュヘイラーはブテゾニドの抗炎症効果とホルモテロールフマル酸塩水和物の迅速かつ持続的な気管支拡張効果により喘息コントロールを改善する薬剤であり、治療薬として2000年にスウェーデンで初めて承認された薬剤です。

なぜホルモテロールが迅速な作用発現と長時間作用があるのか?
β受容体刺激剤は気管支平滑筋に存在するβ2受容体を刺激してCs−アデニル酸シクラーゼーcAMP経路を活性化して平滑筋の緊張を低下させる。β2刺激剤の作用発現、持続時間の異なりは各薬剤の脂溶性の差によるものと考えられる。

脂溶性が高い順で;
サルメテノ−ル(セレベント)>ホルモテロール>サルブタノール(メプチン)・サルブタノールは親水性にて水相から速やかに拡散して受容体に到達するため作用発現は速やかであるが、細胞膜から容易に洗い流されるため作用持続時間は短くなる。
・サルメテロールは脂溶性にて大部分が脂溶性の細胞膜に容易に取り込まれて徐々に拡散して受容体到達するため作用発現は緩徐で、作用時間が長くなる。
  ホルモテロールは中程度の脂溶性を有するため一部は細胞膜に保持されるが、細胞膜外にもβ2受容体と相互作用できる量が存在し、速やかにβ2受容体に到達して作用発現し、さらに、細胞膜に保持された分画が徐々に水相に遊離してβ2受容体に到達するため長時間作用を示すと考えられる。

喘息予防・管理ガイドラインはJGL2006が改定され2009年10月、JGL2009が発表されています。抗炎症治療に重きをおき、ステップ1から吸入ステロイド薬(ICS)が推奨されて、喘息治療はICSがベースとなっています。
またステップ2以上では、ICS+LABA(長時間作用性β2刺激剤)配合剤の使用も推奨されています。

 
アドエアとの比較
喘息増悪の発現回数はアドエアに比べて32%減少
(対象)吸入ステロイド剤による治療を続けている12歳以上の気管支喘息患者2228
(方法)2週間はそれまで使用していた吸入ステロイド剤を継続してその後、シムビコート3209μg1回1吸入1日2回又はアドエア50250μg1回2吸入1日2回
β2刺激剤の固有活性
ホルモテロール68.9% サルメテロール32.1%
 固有活性とは?
 細胞内シグナル伝達系の活性化の違いを反映している、
 即ち、薬物の濃度に関係なく生じる最大効果(効果発現能力)で、
 強ほどわずかの受容体を占拠するのみで最大効果を生じる。
 気道収縮の時、受容体の傷害や数の減少する場合でも本来の
 作用を損なうことなく十分な効果が期待できる、
 しかし受容体に連結するG蛋白との共役能が強く、
 過剰に投与するとβ受容体の耐性化を誘導しやすい特徴がある。

増悪する場合の増量方法
 アドエアディスカス 100250500 (サルメテロールはすべて50μg)
 シムビコート 症状にあわせて最大1回4吸入1日2回まで投与回数を増やす。
 シムビコートの方が症状にあわせた増量が簡単であるが、
 患者負担は少し増える可能性がある。
粒子径
 ホルモテロール 23μg  アドエア 4.36.3μg
 (気道への到達には25μg、末梢気道から肺実質への到達には
  0.83μgが適している)
吸入1分後の呼吸困難感の改善
 シムビコート(160/4.5μg)29.1
 アドエア(50/250μg)18.7
副作用発現頻度(20歳以上の気管支喘息患者282人)
2回/日 動悸1.4
4回/日 振戦4.3% 動悸1.4
8回/日 振戦7.2% 動悸7.2
臨床試験においては(314例中58例)
嗄声5.4% 筋痙攣2.9% 動悸 2.5% 咽喉頭疼痛1.3

使用の目安
治療中の患者様の場合
週1回以上喘息発作がある人、週1回以上発作止めを(SABA)を使用している人
未治療の患者様の場合
週1回以上、日常生活や睡眠に支障がある人、週1回以上夜間症状がある人
上記の方は1日4回吸入を目安にする。
最大量は海外では12吸入で小児に1日2吸入で承認されていますが、日本では1日8吸入までで、小児には承認されていません。

投薬時の注意
吸入方法(クルッ カチッ スーッ)の説明、終了の目安(カウンターが赤になる)、新しい吸入器の操作方法、1回1吸入(2回分はセットできない)、吸入時は本体を持たない(空気穴をふさがない)、吸入器を回すときは横にしない等‥ 

吸入ステロイドでは効果を実感するまでに時間を要するため、患者さんが指示された用法・
用量を守れず、喘息治療で最も重要とされる抗炎症治療が不十分となることが懸念されていましたが、効果発現が速やかなホルモテロールとの配合剤として投与することによりそのような懸念が解消されることが期待できるのではないでしょうか。