2008年03月15日
「ウリトス」の勉強会をしました。
過活動膀胱治療剤「ウリトス」の勉強会をしました
2008310日 東畦店にて by TM

 

過活動膀胱(OABとは、尿意切迫感を必須とした症状症候群であり、通常は頻尿と夜間頻尿を伴うものある。切迫性尿失禁は必須ではない。

日本における有病率は40歳以上で12.4%と高く、患者数は810万人と推定されている。また、この疾患の課題はQOLの改善である。

 

<ウリトスの特徴>

●ムスカリン受容体M3及びM1に選択的に作用する抗コリン薬である
M3
M1>M2

膀胱収縮は主としてアセチルコリンにより誘発され、膀胱平滑筋のM3受容体を介していることが知られている。よってM3受容体をブロックすることにより膀胱収縮を抑制できる。

またコリン作動性神経終末にはM1受容体が存在し、これを刺激することでアセチルコリン遊離が促進される。よってこれをブロックすればアセチルコリン遊離が抑制され、結果的に膀胱収縮も抑制できる。

 

ムスカリン受容体はM1M5までサブタイプがあることが知られており、このうちM2は心血管系に多く存在していると言われている。ここへの作用が少ないことがQT延長の報告がないことにつながっていると考えられている。

 ●膀胱に対する選択性が高い→口渇の軽減

ラットでの実験で、*1律動的膀胱収縮ID30*2唾液分泌ID50がバップフォーの約10倍であった。

*1律動的膀胱収縮の振幅を30%抑制するために要する用量、*2使用動物数の50%が唾液分泌の抑制を起こすために要する用量)

二重盲検比較試験において、ウリトス群の口渇27.1%であるがそのほとんどが軽度であった。

 10.1mg12回の投与で尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁を改善

長期試験(52週)においても、作用が減弱することなく有効であることも示された。また、副作用による中止例は5.6%と低かった。

 →ウリトスは優れた有用性と高い安全性を持つ薬剤である 

・食事の影響について

食後は空腹時に比べ、Cmax1.3倍、AUC0-121.2倍→食後投与

ただ、大きな差ではないので飲み忘れたときなどの服薬指導としてはさほど食事の影響を考えなくてもよいのではないかと考えられる。

 

・併用注意の薬剤について

ウリトスは主としてCYP3A4により代謝を受けるため、CYP3A4を阻害する薬剤と併用することによりウリトスの代謝が阻害されることが考えられる。

(例:イトラコナゾールとの併用でウリトスのCmax1.3倍、AUC1.8倍上昇したという報告あり) 

・通常は12回投与だが、臨床では夜間頻尿のみがある場合に夕食後のみの投与や、旅行に行くときだけ使うという頓服的投与も行われている。

 

・男性の場合は前立腺肥大がある場合もあり、その時はまずα-blockerでの治療が優先する。尿閉注意。

 

20087月から長期投与が可能となる。

 

考察:副作用の少ない安全な薬、というのは誰もが望むものであり、これまで副作用のために治療をあきらめていた患者さんや我慢しながら他薬を使っていた患者さんには新たな選択肢の1つとなりうる薬剤だと感じた。ただ、やはり抗コリン作用による口渇や便秘がゼロではないので注意は必要だ。

また、現段階では発売後間もないので今後より多くの臨床データが蓄積されることにより類似薬との比較や使い分けなどがより明確になれば、また教えて頂きたいと思う。

OABは通常生死に係わる疾患ではないが、QOLを低下させる疾患であり、OABが改善されることによって外出が苦痛だった人が気軽に出かけられるようになったり、精神的ストレスや不眠などが改善されたり、とメリットは大きいと思われる。

また精神的ストレスや不眠から生じる抑うつや睡眠障害、そこから生じる高血圧、といった具合に他の疾患につながっている可能性もあり、
OABの改善が患者さんにもたらすメリットはさらに大きくなるかもしれない。


 
2008年03月11日
南岡山医療センター薬剤師研修会に参加しました。
平成20年3月5日 
南岡山医療センター薬剤師研修会に参加しました。

                            AM@妹尾店


演題:「食物アレルギー」
   南岡山医療センターにて 


全国の病院でも『アレルギー科』があるところは少ないそうです。

通常は気管支喘息の患者さんが多いそうですが、薬剤のアレルギーや食物のアレルギーの患者さんも多く受診されるそうです。

今までのご経験を含めて、わかりやすく説明して下さいました。

 

     食物アレルギーとは?

食物摂取により生体に有害な反応が引き起こされるとき、その反応が、原因物質に対する免疫反応による場合

     食物アレルギーの有病率 乳児:510% 学童以降:1.3

     原因食物

全年齢:鶏卵38%・乳製品16%・小麦8%・甲殻類・果物類・ソバ・魚類 etc.

乳児・幼児期:鶏卵1位・乳製品2位→成長とともに寛解しやすい

学童期以降 :甲殻類1位(成人になっても治りにくい。ソバ・小麦・ピーナッツ等)

     発症機序

食事→消化酵素で分解→腸管バリア→血中へ一部が移行→IgE抗体またはT細胞と結合→アレルギー反応

乳幼児は免疫系が未熟で免疫寛容が成立しにくいことと、消化管バリアが未熟なためアレルゲンが進入しやすいため、食物アレルギーが発症しやすい

     症状

[即時型] 口腔粘膜の痒みや腫脹・悪心・嘔吐・腹痛・皮膚症状・呼吸器症状・全身症状(ショック:血圧低下)

[非即時型] 慢性の下痢・血便・腹痛・低蛋白症・アトピー性皮膚炎

ピーナツ、小麦、ソバは重症な全身症状を起こしやすい(2相性反応に注意)

     食品表示義務

食品衛生法 H134月改正

必ず表示される品目(5品目)卵・乳・小麦・そば・落花生

表示が勧められている品目(20品目)

食品中の抗原抗体検査が可能なキットあり

     診断

     問診:病歴・合併症・食事内容・家族歴

       服薬状況(β遮断薬・NSAIDs・アスピリン等→アレルギー助長)

     血液検査:一般血液検査

       血中抗原特異的IgE抗体検査(RAST):小麦・大豆→信頼度

     皮膚テスト:プリックテスト

     食物負荷試験:オープン・シングルブラインド・ダブルブラインド

     治療

     除去食療法:原因の回避→過敏性の消失・6ヶ月〜1年は必要最小限

     薬物療法:インタール顆粒の食前内服:食物アレルギーの効能あるのはこれのみ

       その他、抗ヒスタミン剤・抗アレルギー剤等を補助的に使用

     経口免疫寛容:いろいろなものを食べておく

     アナフィラキシーショック時(蕁麻疹・呼吸困難・血圧低下)

気道確保・ショック体位・補液

アドレナリン投与(ボスミン・エピペン自己注)

酸素投与・気管支拡張剤・昇圧剤・ステロイド剤・抗ヒスタミン剤

     栄養指導:食物除去

     投与禁止薬物

卵:塩化リゾチーム

牛乳・タンニン酸アルブミン・乳酸菌製剤・カゼイン

     食物依存性運動誘発アナフィラキシー

  特定の食物摂取後、運動した場合にアナフィラキシーをおこす。

  食後3時間以内の運動・運動開始2030分程度で発症すること多。

     口腔アレルギー症候群 OAS(Oral Allergy Syndrome)

特定の果実・野菜・ナッツ類などの食物を摂取したときに、口唇・口腔粘膜の腫脹、かゆみや、咽喉頭部の異常感を生じる症候群

北欧:シラカンバ花粉症:バラ科植物の果実(リンゴなど)OAS合併。

日本:シラカンバ花粉症・オオバヤシャブシ花粉症に合併したOAS知られている。

通常、新鮮な果物で起こり、加熱調理したものや市販のジュースでは起こりにくい。

 

 
2008年03月05日
持効型溶解インスリンアナログ製剤ランタス注の勉強会をしました。
持効型溶解インスリンアナログ製剤ランタス注の勉強会をしました。                          
KO@内尾店

ランタス注の利点
     1日1回の投与で、ほぼ1日にわたり効果が持続
  (ランタスの作用動態より明らかなピークがないため)
   よって、空腹時に低血糖がおきるという副作用も減る)
     ランタスは積極的な用量調節によりHbA1Cを良好にコントロールする
  (海外データより24週間の試験でHbA1C8.6→6.9に)
     投与のタイミングを患者様のライフスタイルにあわせることができる
  (朝食前あるいは就寝前いずれの投与タイミングにおいてもHbA1C
   1.6%低下
また、上記いずれの投与タイミングによっても
   低血糖の発現率変わりなし
     強化インスリン療法の基礎補充のみならず、経口血糖降下薬との
   併用療法にも使える。
   
(経口血糖降下薬と基礎インスリン併用療法のメリット)
   ・     良好な血糖コントロールが得やすい
   ・     インスリン投与量が節約できる
   ・     切り替えに比して血糖コントロールを悪化させるおそれが少ない
   
     患者様の抵抗感が少なく導入しやすい 

ランタスの単位設定の目安
     インスリン導入時
    初期用量   4〜20単位/日
    維持量    4〜80単位/日(他のインスリン製剤の投与量を含む)
     中間型からの切り替え
  前治療が1日1回の場合
      ・・・前治療の中間型インスリン製剤の1日投与量と同単位
         を目安に投与を開始する
  前治療が中間型2回/日投与の場合
      ・・・国内では使用経験が少ない欧州及び米国の試験における
         ランタス減
量の割合は、前治療のインスリン製剤の
         1日投与量のそれぞれ14%および21%
         (
ex中間型20単位→ランタス16単位)80%
                
☆感想☆今回の勉強会はランタス注オプチクリックを実際に使っての手技が主でした。
他社のものより少し構造が複雑なため、使用法も少し手間取る部分もありますが、上記に示すような利点が実際にみられるなら、使う意義が十二分あるお薬だと思いました。
何名か中間型より切り替えになった患者様がいらっしゃるので、その患者様の経過とともにランタスの効果を自分の目で確かめていきたいと思います。