2011年01月15日
アトピーへ適応拡大になった乾癬治療薬「ネオーラル」の勉強会をしました。

「ネオーラルカプセル」の勉強会をしました。

平成23年1月15日     By AN@妹尾店


ネオーラルカプセルの主成分であるシクロスポリンは、真菌から分離して作られ
1985年にサンディミュンカプセルとして発売された。
サンディミュンカプセルは油をベースとした製剤で、問題点として
・胆汁酸分泌量、食事の影響を受けやすい
・吸収不良の患者では1030%しか吸収されない
・トラフとAUCの相関が低い
・個体差が大きい
等が上げられる。

 
ネオーラルカプセルはO/W型マイクロエマルジョンを形成した製剤で、水に触れると乳化し速やかに吸収される胆汁酸分泌量や食事の影響を受けにくい、サンディミュンカプセルを改良した製剤である。
サンディミュンカプセルでは、食後服用でAUC36%上昇し、Tmax2.8時間から4.6時間に延長する。
それに対しネオーラルカプセルはTmaxは食前食後変わらず、ピークは食前のほうが早くなる。
サンディミュンよりバイオアベラビリティが向上しており、サンディミュンからの切り替えの際は血中濃度上昇による副作用の発現に注意しなければならない。
その他、子供のほうが血中濃度が上がりやすく、代謝が早い。
また、糖尿病を合併しいてるとAUCが上がりにくいので注意が必要である。  

【ネオーラルカプセルによる乾癬治療】
乾癬とは皮膚が赤く盛り上がり、その上に乾燥した白い垢が厚く付着しぽろぽろと剥がれ落ちる皮膚の病気で、感染等の心配はない。
根本的な治療はなく、再燃を繰り返すので症状がよくなっている期間を長くすることが目的とされる。 

乾癬の
90%は尋常性乾癬で、他液状乾癬や関節症性乾癬・乾癬性紅皮症・膿疱性乾癬がある。
男女比は男:女=2:1、男性では40代、女性では1050代での発症が多い。
原因は分かっていないが遺伝的素因がある程度関係し、ストレスや薬などのさまざまな外的要因や病気などの内的要因が加わって、発病・悪化するのではないかと考えられている。
また、免疫反応の異常で起こる炎症性疾患ではないかと言われている。

 
乾癬治療の第一選択はビタミンD3製剤およびステロイド外用剤で、ネオーラルは皮疹が全身の30%以上に及ぶものあるいは難治性の場合に用いられる。

 
乾癬治療時のネオーラルの初期用量は2.55mg/kg/day12回経口投与。
0.51mg/kg/dayを目安に適宜増減を行うが、最高用量は5mg/kg/day
副作用が懸念される場合は0.51mg/kg/dayを目安に適宜減量する。
3ヶ月を目安に効果を確認し、治療方針を検討する。  

【ネオーラルカプセルによるアトピー性皮膚炎治療】
200810月に新たにアトピー性皮膚炎への適応が追加になった。

 
アトピー性皮膚炎とは増悪・寛解を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患。
多くは家族歴・既往歴(気管支喘息・アレルギー性鼻炎/結膜炎・アトピー性皮膚炎)またはIgE抗体を産生しやすい、アトピー素因を持つ。
アトピー素因はアレルギー性の炎症反応を引き起こしたり、セラミド(角質細胞間脂質)減少によって乾燥肌になる皮膚バリア機能障害を引き起こし、アトピー性皮膚炎を引き起こす。
左右対称性に発症し、年齢によって好発部位や皮膚症状が異なる。

 
適応は16歳以上の最重要患者および既存治療で十分な効果が得られない患者。
成人に対しては初期用量は35mg/kg/day12回経口投与。
症状により適宜増減を行うが、最高用量は5mg/kg/day
投与期間は出来る限り短期間にとどめ、初期に皮疹の改善が見られた場合は投与中止し通常の治療法に戻す。
8週間の投与でも改善が見られない場合には投与中止、見られた場合でも1回の治療期間は12週間以内とする。
再投与する場合、休薬期間は2週間以上とする。  

【副作用等】
・血圧…RA系の亢進により血圧が上昇する。
・歯肉肥厚…ニフェジピン併用により現れやすくなる。
・振戦・頭痛・しびれ等…低マグネシウム血症による。
その他、腎機能低下、感染症、多毛、消火器症状、高カリウム血症、高尿酸血症等が現れた場合には適宜減量もしくは中止することが望ましい。  

【考察】
サンディミュンカプセルに比べ個体差が少なく、改良された素晴らしい製剤だと感じた。

アトピー性皮膚炎の適応追加により、難治性のアトピー性皮膚炎患者さんの治療の幅が広がったことは非常に喜ばしい反面、投与方法や副作用に十分な注意が必要であると思った。