セララ(エプレレノン)の勉強会をしました。
By MH@東畦店
世界初!選択的アルドステロンブロッカー(SAB:新しいクラスの高圧薬)
最近アルドステロンは心血管疾患のリスクファクターとして注目されています。
アルドステロンはRA系の最下流に存在して、主に水・Na+の再吸収に関係するホルモンと考えられてきましたが、血圧の上昇に加えて心臓・血管・腎臓・脳などに対して障害を直接引き起こすことが明らかにされています、そのため高血圧や臓器障害の抑制において、アルドステロンを直接ブロックすることが重要です。
作用機序 選択的アルドステロンの受容体であるMR(ミネラルコルチコイド受容体)に結合してアルドステロンの作用を直接ブロックします。
MRは腎臓などの上皮組織だけでなく血管・心臓・脳などの非上皮組織に発現していることが明らかになり、アルドステロンの非上皮性が心血管イベントに関与する可能性が示唆されている。
上皮組織→アルドステロンとMRの選択的結合が保護。
非上皮組織→アルドステロンとMRの選択的結合が保護されていないが、わずかに結合すると考えられる。
セララは上皮性/非上皮性MR拮抗薬である。
同じMR拮抗薬であるスピロノラクトンはMRだけでなく性ホルモン受容体に結合するため副作用が多く発現する(女性化乳房・月経関連障害・勃起機能不全)、またエプレノンのMR親和性はスピロノラクトンと比べてかなり高く利尿効果はほとんどないため、スピロノラクトンとセララは全く違う薬であると考えられます。
使い方
日本では高血圧のみの適用です。
日本人の食塩摂取は海外に比べて高く、一時期よりは下がりましたが一日の摂取量の平均は11.4gでガイドラインの6gよりかなり量が多くなっています。食塩摂取量が多いとアルドステロンが有害作用を発現して心筋細胞の肥大につながります。
また、食塩摂取量が多いと低レニン状態になりACE阻害剤やARBでは高圧効果が下がるのに対し、セララは安定した高圧効果が期待できます。
単独投与でも高圧効果は期待できますが、セララは併用薬としてとても使いやすい薬剤であり、Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、βブロッカー、利尿薬と併用できます。
エビデンス 心筋梗塞後患者さんを対象として、セララの生命予後に及ぼす影響を検討した試験
(EPHESUS)
標準治療+セララにて死亡率が15%減少、心臓突然死が21%減少、早期における突然死31%減少
心筋の繊維化を抑制する。
高血圧概往例における生命予後の改善。
臓器保護 アルドステロンブロッカーは日本、米国、欧州のガイドラインで心疾患を伴う高血圧治療に推奨されています。
アルドステロンブレイクスルー対策を期待している。
アルドステロンブレイクスルーは、長期間(6ヶ月以上)ACE阻害薬やARBなどのRAA系を抑制する薬剤を投与し、いったん低下していた血漿アルドステロン濃度が再び上昇し始める現象、高血圧になることはないが、心肥大、蛋白尿など臓器障害が進展しやすくなると言われている。原因としてAⅡはACE以外の経路で産生されるため、AⅡが増加してアルドステロンも増加することと考えられている。 ACE阻害剤で40~50%、ARBで20~30%
用法・用量
1日1回50mgより投与開始、効果不十分は100mgまで増量することが出来ます。
24時間良好な血圧コントロールができます。
長期投与においても良好な血圧コントロールができます。
製剤は25mg・50mg・100mgで半錠には出来ない(かなり味が悪い)
禁忌 1:本剤の成分に対し過敏症の概往歴のある患者
2:高カリウム血症の患者もしくは本剤投与開始時に血清カリウム値が5.0mEq/Lを超えている患者
3:微量アルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者
4:中等度以上の腎機能障(クレアチニンクリアランス50mL/分未満)のある患者
5:重度の肝機能障害(Child-Pugh分類 クラスCの肝硬変相当)のある患者
6:カリウム製剤、カリウム保持利尿薬を投与中の患者
7:イトラコナゾ-ル、リトナビル及びネルフィナビルを投与中の患者
7項目のうち2~7項は高Kに関係している。
使用上の注意 CYP3A4阻害薬と併用する場合には本剤の投与量を1日1回25mgとする。
(クラリスロマイシン・エリスロマイシン・フルコナゾール・サキナビル・塩酸ベラパミル等)短期間でも減量とする。
高カリウム血症が現れることがあるので、血清カリウム値を原則として投与開始前、投与開始後(又は用量調節後)の一週間以内及び一ヶ月後に観察し、その後も定期的に観察すること。
以上、使いにくい点はあるようですが、食塩摂取の多い日本人の高血圧の患者にはかなり期待のできる薬剤です。レニン・アンジオテンシン系(RAS)の中心はアンジオテンシンⅡでありますが、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の中心はアルドステロンとなっていくと思われます。